2018 Fiscal Year Research-status Report
プロリン異性化酵素Pin1による熱産生抑制機構の解明と抗肥満薬の開発
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16K09784
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中津 祐介 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 講師 (20452584)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Pin1 / 熱産生 / PRDM16 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、 in vitorにおいてPin1による熱産生抑制機構を検討した。 1.①primary adipocyteをWT及びKOマウスから調整し、CL316243刺激を行ったところ、Pin1欠損によりUCP-1等の熱産生遺伝子の亢進がBrownまたはbeige adipocyteで認められた。②遺伝子発現と一致して、UCP-1の蛋白レベルはPin1 KO adipocyteの方が高かった。③Pin1欠損により、PRDM16の発現量が増加した。④PRDM16をsiRNAでノックダウンするとPin1欠損によるUCP-1の発現増加が抑制された。⑤ベージュ脂肪細胞と褐色脂肪細胞の分化は、Pin1の有無により影響を受けなかった。以上より、in vitroにおいてもPin1はPRDM16の機能制御を介して熱産生を抑制していると考えられた。 2.マウス個体レベルでのエネルギー消費を検討するために、Oxymaxを用いて酸素消費量を測定した。明期での酸素消費量は、WTとKOで差が認められなかったが、暗期での酸素消費量はKOマウスの方が高かった。このことより、Pin1 KOマウスでは熱産生が亢進し、酸素消費量が増大したと考えられた。 3. 脂肪特異的Pin1 KOマウスを作製するときに使用したap2-Creトランスジーンは、マクロファージにも発現する可能性が示唆されている。そこで、両マウスからprimary macrophageを調整し、Pin1発現量を測定したところ、ほとんど差は認められなかった。また、LPS刺激によるサイトカインの発現量を両群で差は認められなかった。以上より、ap2-Creトランスジーンによるマクロファージへの影響は、ほとんどないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Primary adipocytesにおいてもPin1がPRDM16の発現抑制を介して熱産生を抑制していることを明らかにし、またPin1 KOマウスは酸素消費量が高いことも見出したため。
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Strategy for Future Research Activity |
脂肪分解は、熱産生において重要な役割を担っている。また、Pin1がATGLにも結合することも見出した。そこで、Pin1による脂肪分解機能制御と熱産生との関係を明らかにする。また、マウスを24時間寒冷刺激すると脂肪組織のPin1発現量が増加する。その生理的意義を明らかにする。
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Causes of Carryover |
予想より速やかに研究が進行したことで次年度繰り越し分ができた。 熱産生に関する新たなPin1結合タンパクが同定できたため、その機能制御と熱産生との関係を明らかにする。また、長期寒冷刺激時の脂肪組織のPin1発現増加がどのような生理的意義を持つかを明らかにするために次年度繰り越し分を使用する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Prolyl Isomerase Pin1 Suppresses Thermogenic Programs in Adipocytes by Promoting Degradation of Transcriptional Co-activator PRDM16.2019
Author(s)
Nakatsu Y, Matsunaga Y, Yamamotoya T, Ueda K, Inoue MK, Mizuno Y, Nakanishi M, Sano T, Yamawaki Y, Kushiyama A, Sakoda H, Fujishiro M, Ryo A, Ono H, Minamino T, Takahashi SI, Ohno H, Yoneda M, Takahashi K, Ishihara H, Katagiri H, Nishimura F, Kanematsu T, Yamada T, Asano T.
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Journal Title
Cell Rep.
Volume: 26
Pages: 3221-3230
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Development of Pin1 inhibitors and their potential as therapeutic agents.2018
Author(s)
Nakatsu Y, Matsunaga Y, Ueda K, Yamamotoya T, Inoue Y, Inoue MK, Mizuno Y, Kushiyama A, Ono H, Fujishiro M, Ito H, Okabe T, Asano T.
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Journal Title
Curr Med Chem
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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