2016 Fiscal Year Research-status Report
転写因子PREBトランスジェニックマウス解析結果を用いた生活習慣病改善戦略
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16K09786
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
井町 仁美 香川大学, 医学部, 准教授 (80380187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村尾 孝児 香川大学, 医学部, 教授 (20291982)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | PREB / 脂肪肝 / アディポネクチン / 脂肪細胞 / 生活習慣病 / トランスジェニックマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
転写因子prolactin regulatory element binding (PREB)は、全身の組織に発現されており、その機能の詳細は不明のままであった。我々の研究室では各組織におけるPREBの機能解析をおこない、現在までに生活習慣病に関連する転写因子であることを報告している。脂肪負荷による脂肪肝モデルマウスにおいても転写因子PREBの過剰発現を確認した。そこでNASHにおけるPREB発現の意義について検討するためにPREB過剰発現トランスジェニックマウス(PREB-Tg;組み替えDNA承認番号:10219)を作成した。PREB-Tgマウスおよびコントロールマウスに高脂肪食を負荷すると、コントロールマウスにおいては、肝細胞に脂肪蓄積を認めた。一方PREB-Tgマウスにおいては、コントロールマウスに比較して、肝細胞への脂肪蓄積は著明に抑制されていた。このメカニズムを解明するために本年度は、脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインについて検討した。脂肪細胞においてPREBの発現を免疫染色にて確認した。細胞内情報伝達系PKA応答性、およびDNAサーチの結果、PREBは脂肪細胞より分泌される善玉アディポサイトカイン、adiponectinの遺伝子発現を調節する可能性が示唆された。PREBは高血糖刺激またはPKAを介してadiponectinの発現を抑制した。糖尿病による高血糖状態では、PREBはadiponectinを抑制し、動脈硬化、糖尿病の増悪の一因になることが推定された。PREB-Tgマウスでは、脂肪細胞においてPREBが強発現されており、血中adiponectinは低下し、肝臓におけるadiponectin受容体は増加していた。PREB-Tgマウスでは耐糖能異常を呈するが、チアゾリジン誘導体はPREB-Tgマウスの耐糖能異常を改善することを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究どうりに進行している。PREB-Tgマウスは、順調に生育し、実験ができている。また本年度の研究結果をまとめて論文として報告することができた。 Prolactin regulatory element-binding protein is involved in suppression of the adiponectin gene in vivo.Zhang XZ, Imachi H, Lyu JY, Fukunaga K, Sato S, Ibata T, Kobayashi T, Yoshimoto T, Kikuchi F, Dong T, Murao K. J Endocrinol Invest. 2017 40(4):437-445.
Insulin-like Growth Factor 1 Regulates the Expression of ATP-Binding Cassette Transporter A1 in Pancreatic Beta Cells. Lyu J, Imachi H, Iwama H, Zhang H, Murao K.Horm Metab Res. 2016 48(5):338-44.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度のアデポサイトカインの解析を受けて、脂肪肝抑制のメカニズムとして肝細胞における脂質関連遺伝子群の網羅的な解析をおこなう。 マウスに高脂肪を負荷すると、病理学的に脂肪肝・NASHとなるモデルマウスを同時に使用し、比較検討する。高脂肪を負荷したマウスにおける肝細胞でのPREBの発現について蛋白レベル、mRNAレベル、western blot、real-time PCRおよび免疫染色にて検討する。脂肪蓄積レベルとPREBの発現量の関係について経時的に解析し、網羅的な解析としてDNAチップおよびmetabolic DNA チップを導入する。PREB-Tgマウス、NASHモデル、コントロールモデルで比較検討し、候補遺伝子を抽出する。候補遺伝子(分子)に関しては、機能解析とPREBによる転写調節が行われているか解析をすすめる。
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Causes of Carryover |
PREBの機能は多岐にわたるため、DNAチップおよびmetabolic DNA チップによる網羅的な解析を追加検討するための研究費が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
PREB-Tgマウスおよびコントロールマウスに高脂肪食を添加し、脂肪肝が発症した肝臓およびNASHの変化を認めた肝臓における遺伝子発現パターンをDNAチップおよびmetabolic DNA チップにて網羅的に解析する。解析で抽出された分子に関しては、PREB-Tgマウスで再検討し生理的な発現であるか検討を行う。さらに検出された分子の機能解析をおこなうと同時に、プロモター解析をおこない、PREBによる転写調節が行なわれているかを検討する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Prolactin regulatory element-binding protein is involved in suppression of the adiponectin gene in vivo.2017
Author(s)
Zhang XZ, Imachi H, Lyu JY, Fukunaga K, Sato S, Ibata T, Kobayashi T, Yoshimoto T, Kikuchi F, Dong T, Murao K.
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Journal Title
J Endocrinol Invest
Volume: 40
Pages: 437-445
DOI
Peer Reviewed
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