2018 Fiscal Year Annual Research Report
Pathophysiological involvement of brain fractalkine-CX3CR1 signal in obesity
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16K09788
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
勝浦 五郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任研究員 (20401226)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | fractalkine / CX3CR1 / 食事性肥満マウス / 学習記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、fractalkine (FRK)-CX3CR1 systemが中枢神経系の機能を調節していることが明らかにされつつある。特に、CX3CR1受容体欠損マウスで海馬でのLTPの減少と行動薬理学的手法により学習記憶障害が報告されている。また、肥満モデル動物で学習記憶障害が報告されている。そこで、高脂肪食摂取による食事性肥満モデルマウスの学習記憶障害における脳内FRK-CX3CR1シグナルの作用を検討した。6週齢のC57BL/6Jマウスに60%高脂肪食を16週間与え、Y maze testを行い、海馬および視床下部でのFRKおよびCX3CR1の遺伝子発現を検討した。さらに、CX3CR1アンタゴニストである18aを正常オスマウスの側脳室内に50 ng/mouse投与し、30分後にY maze testを行った。その結果、高脂肪食摂取によって著明な学習記憶障害が認められ、海馬でのFRKおよびCX3CR1の遺伝子及びタンパク質発現の有意な減少が認められた。さらに、CX3CR1アンタゴニストである18aの側脳室内投与によって、著明な学習記憶障害が誘発された。さらに、マウス初代培養神経細胞およびマイクログリア細胞を用いた実験で、FRKおよびCX3CR1の発現がBDNFおよびIGF-1により有意に増加することが明らかになった。また、マウスを用いた実験で、BDNF受容体アンタゴニスト及びIGF-1受容体アンタゴニストの投与によって海馬のFRKおよびCX3CR1の発現減少が認められた。これらの結果から、脳内FRKおよびCX3CR1の発現減少は脳内BDNFの減少および血中IGF-1の低下によることが示唆された。今回の検討の結論として、高脂肪食摂取による肥満モデルマウスの学習記憶障害に脳内FRK-CX3CR1シグナルの低下が関与している可能性が明らかとなった。
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