2019 Fiscal Year Annual Research Report
Novel mechanisms of thyroid hormone action on the behavioral expression.
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16K09793
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内田 克哉 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (40344709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井樋 慶一 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (60232427)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 甲状腺ホルモン / 発達障害 / パルブアルブミン / MeCP2 / CUX1 |
Outline of Annual Research Achievements |
一昨年、胎生17日から生後14日まで甲状腺ホルモン合成を阻害したマウスでは 体性感覚野を中心に組織構築の異常が観察された。出生直後から生後14日まで外因性に甲状腺ホルモンを補充することで、組織構築の異常が回避されることから、この期間内に存在する甲状腺ホルモンが正常な脳形成に必須であると推察された。幼若期の甲状腺ホルモン不足は、カルシウム結合蛋白質であるパルブアルブミン遺伝子発現を減弱するのみならず、methyl CpG-binding protein2 (MeCP2)の免疫染色性を著しく低下させた。パルブアルブミンに関しては転写およびその転写物が減少するものの、MeCP2の転写レベルは対照群と変わりがなかった。大脳皮質第2層ならびに3層におけるMeCP2染色性の低下が顕著であることから、皮質第2層ならびに3層のマーカーであるCUX1の免疫染色を試みたところ、甲状腺ホルモン欠乏群では、CUX1で染色される層の厚みが明らかに薄かった。一方、生後14日で抗甲状腺剤の投与を停止し、その後血中甲状腺ホルモン量の推移を観察すると約1ヶ月で血中ホルモン量が正常個体と同程度にまで回復することが明らかとなった。そこで我々は甲状腺ホルモン量が十分に回復した個体で、パルブアルブミン、MeCP2、CUX1の免疫染色を行い、これらの分子の挙動を確認した。その結果、パルブアルブミンとMeCP2は正常個体と同程度まで回復していたが、CUX1に関しては依然として染色性が低下したままであった。そこでチオニン染色によって皮質第2層ならびに3層のニューロンを染色し、画像解析により2層ならびに3層の面積を計測したところ、対照群と比べて、幼若期に甲状腺ホルモン欠乏を経験した実験群では顕著な層形成の不全が認められた。以上の結果は、今年度内に論文として発表する予定である。
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