2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of three new molecular bases in the mechanisms of insulin secretion
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16K09799
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
駒津 光久 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (90221978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 至 群馬大学, 生体調節研究所, 名誉教授 (60143492)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インスリン / cAMP |
Outline of Annual Research Achievements |
甘味受容体の拮抗薬であるLactisolがインスリン分泌を抑制するという結果はラット膵β細胞では証明できなかった。一方ブドウ糖やインクレチンがインスリン分泌を制御するメカニズムの解明に向けて、灌流実験によるインスリン分泌実験で興味ある結果を得て、論文投稿準備中である。 Ca2+存在下ではブドウ糖は2相性のインスリン分泌を惹起するが、Ca2+非存在下ではインスリン分泌は全く起こらない。しかし、45分間ブドウ糖で刺激後、一度低濃度ブドウ糖緩衝液で洗浄し、次に脱分極刺激によるCa2+刺激性インスリン分泌を観察すると、最初の刺激時にCa2+が存在していなくても、2回目のCa2+刺激性インスリン分泌はブドウ糖の濃度依存性に強力に増強された。すなわち、ブドウ糖はCa2+非依存性にインスリン分泌可能なReadily Releasable Pool(RRP)を増加させるという我々の従来の考えを補強する新たな証拠となった。 インクレチンのインスリン分泌増強作用のセカンドメッセンジャーであるcAMPのRRPに対する効果も検討した。cAMPがブドウ糖濃度依存性にRRPを増幅することはすでに報告しているが、そのタイムコースを詳細に灌流実験で調べたところ、二つの作用が含まれていることがわかった。「RRP量の増加」と「Ca2+に対する反応速度の促進」である。前者は主に高濃度ブドウ糖で著明であり、後者は生理的ブドウ糖濃度内で認められる。このような速度の変化はプロテインキナーゼCの活性化では見られなかった。インクレチンの生理的インスリン分泌制御作用の新たな理解に資する結果と考えている。 ブドウ糖によるRRPの増大は蛋白アシル化の抑制薬であるceruleninで抑制され、アシル化を模倣するパルミチン酸の投与で一部再現された。これらの所見は、その分子機構にブドウ糖による蛋白アシル化が関与していることを示唆した。
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