2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K09808
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
川島 晃 帝京大学, 医療技術学部, 研究員 (60624913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 将文 自治医科大学, 医学部, 教授 (40296108)
木村 博昭 自治医科大学, 医学部, 講師 (70593622)
唐澤 直義 自治医科大学, 医学部, 助教 (60631893)
渡邊 幸子 自治医科大学, 医学部, 助教 (80770619)
鈴木 幸一 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (20206478)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 免疫 / 炎症 / インフラマソーム / ユビキチン修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、新規の自然炎症経路の一つであるインフラマソームの制御機構を解明することである。我々は、インフラマソームにおいて中心的な役割を果たすタンパク複合体インフラマソームを単離し、質量分析器を使ったタンパクの解析を行った。その結果、新規のE3ユビキチンリガーゼがインフラマソーム中に含まれることを明らかにした。本年度は、そのE3ユビキチンリガーゼ分子Xの機能について解析を行った。1.ヒト胎児由来腎臓細胞293T細胞株を対して、分子Xの強制発現系による機能解析を行った。分子Xは、インフラマソームの構成分子の一つに結合し、K48, K63を介したユビキチン鎖を形成することを明らかにした。2.次に、THP-1細胞の遺伝子組換株として分子Xの欠損株、分子Xの野生型と変異型の強制発現株を作成した。まず、分子Xの欠損型に関して解析を行った。分子Xの欠損株は、インフラマソームがより強く活性化することを明らかにした。具体的には、刺激によるインフラマソーム活性化細胞が増加し、サイトカインIL-1bの分泌量が増加した。また、前述の293T細胞で明らかにした分子Xの標的分子は、欠損株ではユビキチン修飾が減少していた。次に、分子Xの強制発現株について、解析を行った。分子Xの強制発現株は、インフラマソームの活性化に対して抑制的に働いた。具体的には、インフラマソーム活性化細胞が減少し、サイトカインIL-1bの分泌量が減少した。一方分子Xの変異型を強制発現させた細胞株では、インフラマソームの抑制効果が見られなかった。上記の結果より、分子Xはインフラマソーム構成分子に結合し、ユビキチン化を介して、抑制的に働くことを明らかにした。現在は、上記の結果をまとめて論文に投稿中である。今後は、インフラマソームの活性化機構において、ユビキチン修飾が、どのように調節されているかなどを明らかにしていこうとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、計画に従って分子Xの機能解析に関して細胞株を用いて解析を行った。分子Xの欠損株と強制発現株の作成により分子Xの機能解析が進み、論文にまとめている。細胞株を用いた実験は、計画的に進んでいると考えている。また、様々なインフラマソーム活性刺激に対する分子Xの働きについて、予備的な検討を行い、次年度も引き続き解析を行っていく。一方で、キメラマウスの作成の為に、レンチウイルスを用いたマウス骨髄細胞の遺伝子組換を行ったが、良い結果が得られなかった。マウスを使った実験に関しては、検討が必要であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
分子Xの細胞解析の結果をまとめて論文投稿を行っている。また、解析の過程で、インフラマソームの活性化刺激によって分子Xの異なる働きが見られており、その点について細胞株を用いて解析を行っている。レンチウイルスを使った組換マウスの作成については、難航しており計画の変更なども含めて検討をしている。
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Causes of Carryover |
23,793円という軽微な残額であり、ほぼ計画通りに失効している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も計画に沿って予算の執行に努める。
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