2018 Fiscal Year Annual Research Report
the role of endothelial cells on adipocyte metabolism
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16K09812
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
神田 武志 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80317114)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グレリン / 内皮細胞 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管内皮細胞は白色脂肪細胞への脂質の取り込みを増加させ白色脂肪重量を調節するが、全身のエネルギーバランスが内皮機能に影響を及ぼすメカニズムは不明である。空腹時に胃から分泌されるグレリンは、主に中枢神経系を介して摂食亢進、脂肪蓄積を増加させる。グレリン受容体(GHSR)欠損マウスでは高脂肪食摂取後の白色脂肪重量の低下をきたすが、高脂肪食摂取に対する内皮グレリン/ GHSRシグナルの役割は不明であり研究を行った。グレリンは、野生型マウスにおいて血中トリグリセリド(TG)クリアランスおよび白色脂肪重量を増加させたが、GHSR欠損マウスではこの効果は認められなかった。一方、GHSR欠損マウスにおける脂質経口投与後の遊離脂肪酸(FFA)およびTG値は、野生型マウスと比較して有意に高かった。高脂肪食摂取後の白色脂肪組織(WAT)の重量は、GHSR欠損マウスで有意に減少し、白色脂肪組織への脂質の取り込みがGHSR欠損マウスで減少していると考えられた。我々はCre-loxPシステムを用いて、GHSR欠損マウスの内皮細胞に選択的にGHSRを発現するトランスジェニックマウス(GHSR-ECマウス)を作製し、これらのマウスとGHSR欠損マウスおよび対照マウスを比較した。GHSR-ECマウスは、WATにおける血清リポタンパク質リパーゼ活性および脂質取り込みを回復させ、WAT重量を増加させた。培養内皮細胞では、グレリン刺激によりFFAの取り込みと、Cd36、Ap2、およびGpihbp1などの脂質取り込み遺伝子の発現を増加させた。これらの効果はGHSR欠損マウス由来の内皮細胞では観察されなかった。内皮GHSRが内皮機能において重要な役割を果たし、グレリンに反応して脂質代謝、白色脂肪重量を制御することを明らかとした。
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