2016 Fiscal Year Research-status Report
ヘパリン親和性エリスロポエチンの組織保護・再生効果の検討
Project/Area Number |
16K09823
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
森山 雅人 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30598131)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西條 康夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10270828)
小澤 拓也 新潟大学, 医歯学系, 講師 (70467075)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | エリスロポエチン / ヘパリン親和性 / ヘパリン結合ドメイン / 組織保護 / 血管障害 / 血栓 / 細胞外マトリックス / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに申請者は、赤血球系の造血因子であるエリスロポエチン(EPO)にヘパリン親和性モチーフを導入し、ヘパリン親和性EPO(HEPO)という新規サイトカインの合成に成功し(特願2008-323611)、EPO活性の保持とヘパリン親和性の獲得を確認している(特願2012-543009、国際出願PCT/JP2009/071095)。本研究では、rhHEPOの血管内皮・組織保護、再生効果の臨床応用に向けて、まず炎症性、腫瘍性疾患の臨床検体を用いて血管内皮、凝固線溶系検査を実施し、rhHEPOの作用が病態の改善に寄与し得るか、基礎検討を行う。次いで、ヒト血漿検体や動物モデルを用いて、rhHEPOの組織保護・再生効果と安全性を評価し、実臨床への治療的応用を検討することを目的とした。 今回の研究では、rhHEPOの生物学的特性の中で、最も有用かつ臨床応用に近いと考えられる血管内皮・組織保護、再生作用を中心に、必要な基礎検討とデータ収集を行った。具体的には以下の通りである。 対象疾患は、造血器腫瘍および骨髄不全症に対して造血幹細胞移植を施行した症例、悪性腫瘍に対して化学療法を施行した症例、凝固線溶系検査で異常値を指摘された症例で、保存した検体を元に、血液検査の解析、検討を行った。血算、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、フィブリノーゲン、線溶系(FDP, D-dimer)、凝固阻止因子(アンチトロンビン(AT)、プロテインC, S)、TATに加え、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI-1)も評価した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の研究計画では、初年度中にrhHEPOの大量生産とin vitro血栓・血管障害抑制作用の評価も行う予定であった。しかし、平成28年度は学生教育、臨床業務のエフォート率が申請時に想定していた以上に高くなったため、計画通りに研究を遂行することが出来なかった。申請者は所属診療科における外来診療業務、および入院患者様に対する病棟業務にも従事している。従ってここまでは、これまでの研究結果の解析、整理と、臨床検体の収集、解析を中心に研究を展開した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策)初年度に計画していた実験計画の続きを行う。具体的には、rhHEPOの発現系、精製方法の確立を推進し、併行して平成29年度以降にも実施予定であるin vitro血栓・血管障害抑制作用の評価と、in vivo動物治療モデル実験も開始する。
(次年度の研究費の使用計画)本研究計画を遂行するには、申請時に記入した研究経費が必須である。消耗品は主にrhHEPOの作成と、in vitro、in vivo実験に支出される。本新薬の作成に際して、発現システム、細胞株、抗体、カラム、ELISAキット、試薬、プライマーなどが必要である。さらにin vitroの検討では試薬や細胞株、血管内皮細胞培養キット、in vivoにおける実験では各種動物が不可欠である。以上の消耗品のために研究費を出来るだけ使用したいので、学会への参加や情報収集などは出来る限り抑えていく予定である。
|
Causes of Carryover |
申請時の研究計画では、初年度中にrhHEPOの大量生産とin vitro血栓・血管障害抑制作用の評価も行う予定であった。しかし、平成28年度は学生教育、臨床業務のエフォート率が申請時に想定していた以上に高くなったため、計画通りに研究を遂行することが出来なかった。申請者は所属診療科における外来診療業務、および入院患者様に対する病棟業務にも従事している。従ってここまでは、これまでの研究結果の解析、整理と、臨床検体の収集、解析を中心に研究を展開した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度に計画していた実験計画の続きを行う。具体的には、rhHEPOの発現系、精製方法の確立を推進し、併行して以下の実験も進めて行く。 (1)in vitro血栓・血管障害抑制作用の評価:ヒト血漿凝固時間測定、フィブリン形成阻害活性評価、血小板凝集阻害活性評価、凝固線溶系酵素阻害活性評価、血管内皮細胞増殖活性評価 in vivo動物治療モデル実験:DICモデル(ラット)、微小血管障害モデル(ラット)、褥瘡モデル(ラット)
|