2017 Fiscal Year Research-status Report
EBウイルス関連腫瘍に対するiPS細胞由来T細胞療法の開発
Project/Area Number |
16K09842
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
安藤 美樹 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10424251)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 抗原特異的CTL / 若返り / EBウイルス関連リンパ腫 / T-iPS / T細胞療法 / 自殺遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗原特異的細胞傷害性T細胞(CTL)を体外で増幅して再び患者体内に戻す養子免疫T細胞療法は、悪性黒色腫などの一部の腫瘍で持続寛解を得ることができるが、多くの腫瘍では慢性的な抗原暴露によりCTLが疲弊し、期待した程の効果を得ることができない。我々の研究グループでは抗原特異的CTLをiPS技術を用いて機能的に若返らせる技術を開発した。iPS細胞より再分化誘導されたCTLはもとの抗原特異性を保ったまま、より強い増殖能を持つ。2015年にはiPS細胞由来CTLがEBウイルス関連腫瘍を効率よく縮小させることをマウスモデルで証明し、現在医師主導型臨床研究を目指して前臨床試験を行なっている。 現在までに13名のEBウイルス関連リンパ腫患者(節外性NK/T細胞リンパ腫鼻型3名、ホジキンリンパ腫2名、び漫性大細胞型B細胞リンパ腫3名、メソトレキセート関連リンパ増殖性疾患5名)と1名の健常人ドナーにご登録いただいた。最初にHLAを調べたところ、ほとんどのドナーがA2402もしくはA0201などの一般的なHLA型を持っていることがわかった。その後末梢血よりLMP1, LMP2, BZLF1など様々なEBウイルス抗原に特異的なCTLの誘導に成功し、更にT-iPS細胞樹立とiPS細胞由来CTLの誘導に成功した。誘導開始した患者で、CTLを誘導できなかった患者はステロイドを長期間内服している患者1名のみであった。臨床用プロトコールを作成し、作成期間を大幅に短縮することができた。現在マウスモデルを用いて,投与方法や投与量を検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前臨床試験のドナー登録は順調に進み、当初の目標を大きく超え多くの患者にご登録いただくことができた。そのため様々な疾患,様々な病状の患者末梢血より誘導を試みることができたことが非常に役立った。また、プロトコールの改善と誘導期間短縮にも成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在セルプロセッシングセンター内で臨床用プロトコールを用いて誘導を行なっている。今後は医師主導型臨床研究の申請を目指して、セルプロセッシングセンター内で作成したiPS細胞由来CTLを用いて造腫瘍性試験を行う予定である。また、実際の投与方法を検討するために現在in vivo試験も行なっている。
|
Causes of Carryover |
2018年度にマウスモデルでの大規模実験を行うことがわかっていたので予算を残してあり、現在in vivo実験のための消耗品代にあてている。今年度は海外学会での口演も決まっているため、出張費にも使用したいと考えている。
|
Research Products
(10 results)