2016 Fiscal Year Research-status Report
リプログラミング技術を用いた骨髄異形成症候群の腫瘍内遺伝的・機能的多様性の解明
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16K09847
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蝶名林 和久 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (00646010)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / リプログラミング / iPS細胞 / 腫瘍内多様性 / 新規治療薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画に沿って、平成28年度に下記の進捗があった。 1)MDS-iPS 細胞の作製:複数のMDS/sAML患者の末梢血及び骨髄の細胞にエピソーマルプラスミド法でiPS細胞誘導を行い、MDS/sAML細胞由来iPS(MDS-iPS)細胞株と正常細胞由来iPS細胞株の樹立に成功した。樹立したMDS-iPS細胞はGバンド法、SNP-CGHアレイ、遺伝子解析などにより元のMDS/sAMLクローンと同一のゲノム異常を保持していることを確認した。また、MDS-iPS細胞、正常iPS細胞いずれについても多能性幹細胞マーカー遺伝子の発現及びテラトーマ形成能を確認した。 2)MDS/sAMLの病態再現:MDS 症例由来のMDS-iPS細胞から再分化した造血前駆細胞は、同一患者由来の正常iPS 細胞から再分化した造血前駆細胞と比較して、コロニー形成能及び赤血球系分化能の有意な低下が見られた。一方、sAML症例由来のMDS-iPS細胞から再分化した造血前駆細胞では、同一患者由来の正常iPS細胞と比較して、顆粒球・単球系(GM)コロニー形成能の有意な亢進が見られ、免疫不全マウスに生着し致死性のAMLを引き起こした。 3)MDS/sAML特異的原因因子の探索:樹立したMDS-iPS細胞のうち、sAML症例由来MDS-iPS 細胞と同一患者由来の正常iPS細胞を再誘導して得られた造血前駆細胞分画(CD34+CD38-CD45+Lineage-)をソーティングにより選別して、網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、MDS-iPS細胞に特異的な遺伝子発現異常が認められた。MDS/sAML症例の血液単核細胞及びMDS-iPS細胞のゲノムDNA を材料に、同一患者から樹立した正常iPS 細胞を対照として全エキソンシークエンスを行い、網羅的に遺伝子変異を探索し、いくつかのMDS-iPS特異的遺伝子変異を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、上記のように1)MDS-iPS 細胞の作製、2)MDS/sAMLの病態再現、3)MDS/sAML特異的原因因子の探索、を計画していた。1)と2)についてはほぼ達成できた。3)については、平成28年度中に行う予定であった網羅的DNA メチル化解析などのエピゲノム解析を平成29年度に行い、すでに得られている網羅的遺伝子発現解析及び遺伝子変異解析の結果と組み合わせることで、候補因子の絞り込みを進める。 以上のように、当初検討していた実験計画に関しておおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記1)、2)、3)の課題は引き続いて行う。 4)新規薬剤スクリーニング 利用可能な化合物を、上記2)のMDS/sAML病態再現系でスクリーニングして、分化異常の改善や異常クローンの増殖抑制などの効果を認めるような薬剤/化合物の選定を目指す。薬剤スクリーニングの効率を上げるために、血液前駆細胞を大量に得られるよう細胞密度、サイトカインコンビネーションや分化誘導時間などの分化誘導方法の最適化を行う。同時にiPS細胞の維持培養方法や保存方法の改良、また実際に薬剤スクリーニングに用いるMDS-iPS細胞株、正常iPS細胞株の選択を行う。同定された薬剤に関しては、コロニーアッセイ、フローサイトメトリーによる細胞表面マーカー解析、ギムザ染色による形態学的手法、MTS細胞増殖アッセイ、2)のMDS/sAMLモデルマウスなどで薬効を評価する。 5)候補因子の機能解析 上記3)のMDS/sAML特異的原因因子の候補因子について、順次MDS-iPS 細胞に導入もしくはノックダウンして造血誘導を行い、4)と同様の方法により、分化異常の改善や異常クローンの増殖抑制などの効果を確認する。有望な標的因子については阻害剤などの探索を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
MDS/sAML患者よりiPS細胞を樹立して病態再現、特異的原因因子の探索を行っている。前年度はMDS-iPS細胞株を当初想定していたよりも少ない株数にて、MDS/sAMLの病態再現に成功したため、予定を変更し、予定より少ない株数で特異的原因因子の探索等の解析を進めたため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため、今年度は当初予定より多い細胞株数を用いて同様のMDS/sAMLの病態再現を行い、より詳細な解析(特異的原因因子の探索、機能解析等)を行うこととした。未使用額はその経費に充てることとしたい。
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Research Products
(2 results)