2016 Fiscal Year Research-status Report
骨髄増殖性疾患における、CALR遺伝子変異によるJAK2活性化メカニズムの解明
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16K09849
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
野波 篤 久留米大学, 医学部, 助教 (00758419)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨髄増殖性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 変異CALRによるJAK-STAT経路の活性化にTPORが必須である事の証明(機能欠失型TPORを用いた検証) 機能欠失型変異TPOR (アミノ酸524-526: PDL-->AAA)を発現するBa/F3細胞を作成後del-CALRを発現させたところ、野生型のTPORを発現したBa/F3細胞はトランスフォームしたが、機能欠失型変異TPOR発現 Ba/F3細胞はトランスフォームしなかった。これによりTPORが変異CALRによるJAK-STAT経路の活性化にTPORが必須である事が再確認された。 2. 変異CALRがTPOR-JAK2-STAT5経路を活性化するメカニズムの解明(変異CALR細胞における既知のJAK2-STAT5経路制御分子の発現レベルの検討) Wtあるいはdel-CALRを導入したBa/F3-TPOR細胞を用いてマイクロアレイによる遺伝子発現プロファイリングを行った。GSEA解析により、del-CALRを導入したBa/F3-TPOR細胞においてmyc経路、hypoxia関連経路等が高発現していることが判明した。 3. 変異CALR 、TPORと会合する分子の探索 変異CALR とTPORとの間に結合する分子が存在する、もしくは他の分子と複合体を形成すると仮定し、その分子を探索するため、上記細胞株の細胞溶解液を用いてFLAGタグによる免疫沈降を行い、野生型CALRおよび変異CALRと共沈するタンパクを質量分析法により同定した。現在データ解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度の予定は、マイクロアレイデータの解析や、機能欠失型変異TPORを用いた実験を中心におよそ予定通りに進んだ。モノクローナル抗体の作成については、血清レベルまでは順調に進んだが、その後モノクローナル化する段階で時間がかかっている。その分、平成30年度施行分であった、免疫沈降ーマススペクトロメトリーの実験に着手した。 以上のように総合しておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
変異CALRがTPOR-JAK2-STAT5経路を活性化するメカニズムの解明 上記研究実績の概要2で記した高発現の経路について、その検証を行う。 変異CALR 、TPORと会合する分子の探索 上記研究実績の概要3で記したデータの解析を進め、シグナル伝達に関与しそうな分子の候補をしぼり、それらが実際に変異CALRとのみ結合するか確認する。 変異CALR特異的モノクローナル抗体の作成とそれによる局在解析 現在変異CALR特異血清の作成までは順調に進んでおり、今後モノクローナル抗体を完成させ、局在解析のための免疫染色を行う。
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Causes of Carryover |
研究室の共同使用試薬などを有効に活用したため、予定したより少ない予算で実験を進めることが出来た。これを次年度に使用し、さらに有意義な結果を出せるようにしたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生化学実験に50万円、細胞培養実験に303,015円、学会参加のための旅費に15万円を使用する予定である。
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