2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K09858
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
三谷 絹子 獨協医科大学, 医学部, 教授 (50251244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 幹 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (60463840)
佐々木 光 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (60282638)
中村 由香 獨協医科大学, 医学部, 講師 (80364595)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | RUNX1-EVI1 / t(3;21) / 急性巨核芽球性白血病 / 血小板増多 / 骨髄異形成 / CD41 / 中心体 |
Outline of Annual Research Achievements |
RUNX1-EVI1は、t(3;21)の結果形成されるキメラ型転写因子遺伝子であり、急性巨核芽球性白血病の発症、あるいは、慢性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群の白血病化の原因遺伝子である。RUNX1に対するドミナント・ネガティブ効果とEVI1過剰発現効果により、白血病を発症する。レトロウイルスを5-FU処理後のマウス骨髄細胞に感染させ、骨髄移植を行うことにより、RUNX1-EVI1型モデルマウスを得た。モデルマウスの一部は、8ヶ月以内に急性巨核芽球性白血病を発症し、一部は白血病を発症せず、1年程度で末梢血の血小板数増加を示した。非白血病個体では、血小板数増加に加えて、貧血と白血球数低下を示す個体もあった。骨髄では、CD41陽性の巨大な異形巨核球が増殖しており、異形赤芽球の増加も観察された。骨髄の線維化は見られなかった。これらの異形細胞は脾臓にも浸潤しており、巨脾を呈する個体では、正常の白脾髄の構造が破壊されていた。白血病個体では、貧血様肝臓と巨大脾腫が存在した。末梢血は汎血球減少症を呈し、特に貧血は重篤であった。白血病細胞は、形態学的に赤芽球様に見えるものと、巨核芽球様に見えるものが存在した。いずれの白血病細胞もc-kit、CD41及びCD31陽性であり、TER119は陰性であった。電子顕微鏡解析では、血小板ペルオキシダーゼは陰性であったが、多数の中心体とアルファ顆粒が観察された。これらの白血病細胞は二次移植、三次移植が可能であり、二次移植、三次移植の個体はより早期に白血病を発症した。しかしながら、二次移植、三次移植の個体においても、白血病細胞の表現形質(c-kit、CD41及びCD31陽性、TER119は陰性)に変化はなかった。以上のことから、RUNX1-EVI1は巨核球系列の白血病あるいは異形造血を誘導することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究者は、これまでにRUNX1-EVI1ノックインマウスを作製している。キメラノックインマウスは急性巨核芽球性白血病を発症するが、その白血病細胞は、正常のRUNX1遺伝子のプロモーター化にRUNX1-EVI1遺伝子を発現しており、ヒト白血病細胞をより自然に再現している。しかしながら、ノックインマウスを多数作製することは困難であり、ノックインマウスでRUNX1-EVI1型白血病の分子病態を解析し、治療開発を試みるのは困難であった。そこで今回は、比較的多数を作製することが可能で、その後の解析に有利な骨髄移植によるモデルマウスを作製した。本マウスの発症する白血病細胞は、表面マーカー上も電子顕微鏡所見上も巨核芽球系列の急性白血病を発症しており、ヒト白血病とほぼ同様であった。また、二次移植、三次移植により、同様の性質の白血病を発症することを確認しており、より簡便で実験に適したモデルマウスであることが明らかとなった。1年目の進捗としては、充分な成果であると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回得られたRUNX1-EVI1モデルマウスを使用して、分子病態研究と治療開発を推進する。分子病態研究に関しては、本研究者がin vitroの実験ですでに同定しているRUNX1-EVI1の下流分子SKP2が、個体内の白血病細胞においても下流分子として機能するかどうかを検討する。SKP2はRUNX1-EVI1の発現によりその発現が低下し、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を添加することによりRUNX1-EVI1の野生型RUNX1に対するドミナント・ネガティブ効果を解除すると、その発現が回復する。今回はモデルマウス個体から得た新鮮白血病細胞に、レトロウイルスでSKP2を導入して二次移植を行い、白血病発症が回避されるかどうか、あるいは、遅延するかどうか、表面形質が変化しないかどうかを検討する。一方、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は難治性のヒトRUNX1-EVI1型白血病の有力な治療薬候補である。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を白血病個体に投与した場合に抗白血病細胞効果を発揮するかどうか、白血病細胞の二次移植の際に同時に投与した場合に白血病の発症を遅延させられるかどうかを検討する。
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[Journal Article] Somatic mosaicism in chronic myeloid leukemia in remission.2016
Author(s)
Mitani K, Nagata Y, Sasaki K, Yoshida K, Chiba K, Tanaka H, Shiraishi Y, Miyano S, Makishima H, Nakamura Y, Nakamura Y, Ichikawa M, Ogawa S.
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Journal Title
Blood
Volume: 128
Pages: 2863-2866
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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