2017 Fiscal Year Research-status Report
B細胞性リンパ腫における微小免疫環境を標的とした新規治療法の開発
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16K09875
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 光次 九州大学, 大学病院, 助教 (20571764)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 悪性リンパ腫 / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)DLBCLの予後規定遺伝子候補同定とDMSスコアの構築:新規核酸定量システムnCounter system(NCS)やRNAシーケンスにより抽出された予後規定遺伝子250種類に関し、バリデーションとして、107症例のDLBCLを対象にNCSによるRNA定量解析を行った。これらの中で、最も予後を規定するT細胞関連遺伝子ICOS、マクロファージ関連遺伝子CD11c、ストローマ細胞関連遺伝子FGFR1の3因子の発現レベルにより、DMS (DLBCL Microenvironment Signature)スコアを構築した。DMSスコアが高い(微小環境細胞が豊富な)症例は有意に予後良好であり、DMSスコアが低い(微小環境細胞に乏しい)症例は予後不良であった。 (2)上記予後規定遺伝子を発現する細胞集団の同定:NCS解析で同定された予後規定分子が、周囲環境を構成するどの細胞集団で発現しているかを検討するために、新規高感度シングルセルRNA増幅システムC1を導入した。予後良好DLBCL患者群で抽出された予後規定分子の多くが、follicular helper/regulatory T cellやCD68陽性マクロファージ、FGFR1陽性間質細胞で発現されており、これらの微小環境の破綻が予後不良な臨床経過に深く関与している可能性が明らかになった。 (3)DLBCLの遺伝子変異解析:腫瘍細胞そのものの変化を評価するため、107症例のFFPE検体からDNAを抽出、ゲノム変異解析を行った。DLBCL細胞における予後に関連する遺伝子変異やコピー数の変化(Copy number alterations: CNA)は、DMSスコアが低い症例に集中して見られた。したがって発症時リンパ腫組織中の微小環境細胞関連mRNAの量が、DLBCL細胞の悪性度と逆相関し、予後を予測できるうることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標である、DLBCLの予後を規定する微小環境関連遺伝子および微小環境を構成する細胞亜集団の同定を行なうことができた。次年度は、リンパ腫細胞の遺伝子変異と微小環境が、どのような関係性をもってリンパ腫進展を果たしているのか、そのメカニズムについて、マウスモデルなどを用い検証を続ける。
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Strategy for Future Research Activity |
リンパ腫細胞と微小環境が、どのような関係性をもってリンパ腫進展を果たしているのか、そのメカニズムについて明らかにし、微小環境を標的とするような新規治療開発への展開を目指す。
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