2016 Fiscal Year Research-status Report
CD26/DPPⅣのHMGB1阻害による慢性GVHD発症防止のメカニズムの解明
Project/Area Number |
16K09878
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岩尾 憲明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00309139)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沼 圭 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10396872)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | GVHD / HMGB1 / CD26 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄移植後の移植片対宿主病(graft versus host disease;GVHD)におけるHMGB1の作用とそれに対するCD26/DPP4の作用を明らかにするために骨髄移植GVHDマウスモデルを使って以下の検討を行った。 1. HMGB1の炎症惹起作用と作用発現に要する時間を検討するために単球系細胞株U937をHMGB1を添加して培養し、炎症性サイトカインTNF-αの産生量を測定した。培養開始3時間後にTNF-α量はピークを示し、HMGB1濃度に依存性であった。 2.レシピエントのB10BRマウスに抗癌剤投与(cyclophosphamide 120mg/kg,ip day-4,-3)と放射線照射(total425cGy day-2,-1)を実施後、day0にドナーのB6マウスの骨髄細胞と脾細胞を移植(静注)し、GVHDの発症経過とレシピエントマウスの血中HMGB1濃度をELISA法で測定した。HMGB1濃度はday0に上昇した後day1に低下し、再びday6から上昇してday27にピークに達するという二相性の変化を示すことが明らかになった。 3.GVHD経過中のCD26/DPP4とHMGB1の相関を検討するためにGVHDマウス血中の可溶性CD26濃度を測定した。可溶性CD26の濃度はday1から徐々に低下してday6に最低値となり、day27から上昇することが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の研究課題の進捗状況については、HMGB1の炎症惹起作用と免疫細胞活性化作用を確認し、骨髄移植後GVHDマウスモデルにおけるHMGB1の経時的変化の解析もほぼ予定通りに実施するができた。 HMGB1は敗血症マウスモデルでの検討で炎症のlate phaseに作用する因子であることが知られているのでGVHDマウスモデルにおいてday6にHMGB1濃度が上昇することは予想通りであったが、HMGB1濃度がday0に高値を呈する二相性の変化を示すことは予期していない結果であった。この結果については2年目にGVHDにおけるHMGB1の由来臓器を明らかにすることで解析を進める準備をしている。 2年目以降にCD26/DPP4によるHMGB1の作用阻害を解析する実験を行う準備として、HMGB1の炎症性サイトカイン活性をCD26が抑制することを評価するためのin vitroの測定系の実験の設定を進めて、HMGB1とCD26の濃度の条件設定を色々と変更して何度か試みたが、予備実験の段階でHMGB1とCD26の相互作用に関してデータのばらつきが大きく安定したデータを得ることができなかった。そのためHMGB1が炎症を惹起する作用をCD26が阻害することを示すための新たな活性測定系を模索しているため当初の予定よりも計画の進行がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究で明らかになったGVHDにおけるHMGB1の経時変化の結果を基に、今後の研究ではHMGB1の由来臓器や標的細胞の解析を進めてGVHD発症におけるHMGB1の作用を明らかにしていく。また、GVHDにおける可溶性CD26の経時変化の結果を踏まえて、GVHDの病態進展においてCD26がHMGB1に対してどのように作用するのかを明らかにしていく予定である。また、HMGB1の炎症性サイトカインとしての機能に対するCD26の阻害効果の評価方法についても濃度設定や測定条件を変更して安定したデータを得るための実験の設定を進める。
|
Causes of Carryover |
これまでに報告された論文を参考にしてHMGB1の炎症性サイトカインとしての活性を得るための濃度設定を行い、HMMGB1の炎症惹起作用をCD26が抑制する効果を測定するための予備実験を行ったが、安定したデータが得られずHMGB1とCD26の濃度などの条件設定の再検討が必要になった。そのため、当初の実験計画で使用を予定していた試薬類やキット類の購入を延期することになり、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
HMGB1とCD26の条件設定を再検討してHMGB1の炎症性サイトカインとしての活性をCD26が抑制することを示す。そのために新たな実験系を設定し、その実験に必要なキットや試薬類を購入して次年度使用額を使用する計画である
|