2018 Fiscal Year Research-status Report
CD26/DPPⅣのHMGB1阻害による慢性GVHD発症防止のメカニズムの解明
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16K09878
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岩尾 憲明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00309139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沼 圭 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10396872)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | GVHD / HMGB1 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄移植後の移植片対宿主病(graft-versus-host disease:GVHD)の発症におけるHMGB1の作用についてGVHDマウスを用いて以下の検討を行った 1.前年度の研究でGVHDマウスモデルの臓器で移植後早期に細胞の核からHMGB1が放出されていることを確認したことを踏まえ、GVHDの発症経過について臓器の組織学的所見を解析したところday20の時点で好中球の浸潤が認められることを確認した。GVHDのエフェクター細胞はT細胞であるが、GVHDの初期の病態形成には自然免疫細胞である好中球が関与している可能性が示された。移植後のどの時点で好中球の浸潤が起こるのかについて引き続いて検討を行う予定である。 2.GVHDの発症にHMGB1が関与していることをin vivoで検討するために、移植前処置後に抗HMGB1抗体を投与してHMGB1の作用を阻害する実験を行った。移植後のマウスの体重変化には個体ごとのばらつきはあるものの、移植前処置後に抗HMGB1抗体を投与したマウスにおいて体重減少が少ない傾向が認められた。前処置後にレシピエント臓器細胞の核から放出されるHMGB1を移植後のどの時点で阻害することで前処置後に生じる炎症反応を制御できるのかはまだ明らかでないため、抗HMGB1抗体の投与時期を変えてみてGVHDマウスの臓器の病理組織所見と対比しながら引き続き検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GVHDの発症におけるHMGB1の作用を検討する中で、病理組織学的に好中球の臓器浸潤を確認することができた。これはGVHDの初期病態形成における極めて興味深い知見であり、追加実験を検討していたが、研究棟の移転のために動物実験施設が使用できない状況となり、やむをえず研究を中断せざるを得なかった。そのために研究の進行が遅れることとなった。そのため期間延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症メディエーターであるHMGB1のGVHD発症における作用を検討する中で自然免疫系細胞がGVHDの発症早期に関与していることを示唆する病理組織的所見が得られたことは極めて重要な知見であると考えている。自然免疫細胞である好中球がGVHDの発症早期に誘導されることが、その後のGVHDの病態形成にどのように作用するのかを今後検討する予定である。
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Causes of Carryover |
新築された研究棟への研究室の移転、および共同研究施設の移転に伴う動物実験施設の使用停止のために長期にわたり実験を休止せざるを得なかったため次年度使用額が生じた。そのため期間延長を申請し、当該年度に計画していた実験を継続する予定である。
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