2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒト未分化CD34抗原陰性造血幹細胞の純化と分化経路・階層制の解明
Project/Area Number |
16K09881
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
薗田 精昭 関西医科大学, 医学部, 教授 (60206688)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / CD34 / CD133 / GPI-80 / 臍帯血 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、骨髄内直接移植(IBMI)法を開発して、ヒト臍帯血中に新規なCD34抗原陰性(CD34-)造血幹細胞(HSC)の同定に世界で初めて成功している(Blood 101:2924, 2003,plenary paper)。一連の研究でCD34-HSCが、in vitro及びin vivoでCD34+HSCを産生することから、CD34-HSCが従来最も未分化とされていたCD34+CD38-CD45RA-CD90+HSCと比べて、階層制上より上位の未分化HSCであるという新たなモデルを提唱した(J Autoimmun 30:136,2008;J Hemtotopoietic Cell Transplantation 6(2):70,2017)。 今年度は、新たに同定したCD34+/-HSCの陽性・濃縮マーカーであるCD133(Leukemia 28:1308,2014)とGPI-80(Blood 128:2258,2016)を同時に用いる超高度純化法(3 laser, 7 color FACS法)を開発した。本法を用いることで、CD34+/-HSCsは、各々、18Lin-CD34+CD38-CD133+GPI-80+、及び、18Lin-CD34-CD133+GPI-80+細胞分画中に高度に濃縮純化された。限界希釈実験(LDA)の結果、臍帯血由来CD34+/-HSCは、各々頻度1/5、1/8のレベルまで超高度に純化可能(世界最高レベル)であった。その結果、単一細胞レベルでの移植実験や遺伝子発現解析が可能となった。 CD34+/-HSCは、共に単一細胞移植で生着し、二次生着能を示したことから、高い自己複製能と多分化能を持つことが証明された。興味あることに、CD34-HSCは、CD34+HSCと異なるユニークな遺伝子発現パターンを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、新たに同定したCD34+/-HSCの陽性・濃縮マーカーであるCD133(Leukemia 28:1308,2014)とGPI-80(Blood 128:2258,2016)を同時に用いる超高度純化法(3 laser, 7 color FACS法)の開発に成功した。本法を用いることで、CD34+/-HSCsは、各々、18Lin-CD34+CD38-CD133+GPI-80+、及び、18Lin-CD34-CD133+GPI-80+細胞分画中に高度に濃縮純化された。限界希釈実験(LDA)の結果、臍帯血由来CD34+/-HSCは、各々頻度1/5、1/8のレベルまで超高度に純化可能(世界最高レベル)であった。CD34-HSCの頻度は、当初、IBMI法で同定された頻度(1/25000)の約3000倍の濃縮度であった。その結果、CD34-HSCのユニークな遺伝子発現パターンが初めて明らかにされた。今後、これらの情報に基づいて、1)CD34-HSCの自己複製や増殖・分化の分子機構の解明、2)CD34-HSCのex vivo増幅系の開発、3)安全な臍帯血移植法の開発など、多方面への応用が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
前述したように、本研究により、ヒト臍帯血由来の未分化CD34-HSCの幹細胞特性の解明が飛躍的に前進するものと期待される。その結果、多くの応用研究が可能になる。 具体的には、1)CD34+/-HSCの自己複製、維持、増殖・分化機構の解明、2)ヒトHSCの階層制の解明、3)ヒトHSCのex vivo増幅系の開発、4)各種薬剤のヒトHSCへの影響評価系の開発、5)赤血球あるいは血小板のex vivo産生系の開発、6)安全で効率的な臍帯血移植の開発、などである。
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Causes of Carryover |
物品費は、本研究の遂行に必要な各種試薬、モノクローナル抗体、培養器具、遺伝子解析用試薬、NSGマウスなどの購入に使用した。年度末に、若干の残額が生じたが、既に購入した試薬類、モノクローナル抗体などを使用して研究の継続が可能であったことから、次年度に繰越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、繰り越し分を合わせた研究費を使用内訳明細書に記載した計画に沿って執行する予定である。
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Research Products
(17 results)
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[Presentation] Quatification of the actual numbers of transplantable CD34+CD133+ hematopoietic stem cells residing in the umbilical cord blood (UCB) units: A new indicator of quality assurance of UCB units.2016
Author(s)
Matsuoka Y, Fujioka T, Sumide K, Hatanaka K, Nakamura F, Matsumoto K, Otani S, Kimura T, Fujimura Y, Asano H, Sonoda Y
Organizer
The 58th Annual Meeting of the American Society of Hematology
Place of Presentation
San Diego, USA
Year and Date
2016-12-03
Int'l Joint Research
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