2016 Fiscal Year Research-status Report
樹状細胞に発現するShp-1が制御する自己免疫現象の解析
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16K09887
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
金子 和光 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (00334095)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / Shp-1 / マクロファージ / 実験腎炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
樹状細胞(Dendritic Cell:DC)における細胞質型チロシン脱リン酸化酵素Shp-1の機能解析を目標にCre-loxP システムを用いてDC特異的にShp-1を欠損するコンディショナルノックアウトマウス(Shp-1 CKO)を作製した。Shp-1 CKOではDCの活性化に加えてT細胞からのIFNγの産生亢進があり、腎臓では加齢に伴い免疫複合体が沈着して糸球体腎炎が発症する。 本研究ではShp-1 CKO を用いて、DCおよびT細胞の機能異常がもたらす自己免疫疾患発症と加齢との関連を検討する目的で、若齢のShp-1 CKOを用いて糸球体腎炎の実験モデルによる検討を行った。Shp-1 CKOはC57BL/6と同じ遺伝的背景を有しているが、C57BL/6はウシ血清アルブミン(BSA)を完全フロイントアジュバントとともに免疫することで腎炎を発症する。その結果、Shp-1 CKOではBSAの免疫により、コントロールに比べてより早期にタンパク尿が出現した。また、病理組織学的な解析では糸球体内に強い細胞浸潤が認められた。腎臓内に浸潤する炎症細胞を同定する目的で、Shp-1 CKO の腎臓をコラゲナーゼで処理し、フローサイトメーターを用いて解析したところ、F4/80陽性のマクロファージの強い浸潤が確認された。これらの結果からDCにおけるShp-1の欠損は、若齢のShp-1 CKOにおいても免疫寛容の破綻に繋がり、自己免疫性腎炎の感受性を高めることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題においてはShp-1 CKOに見られる腎臓を中心とする自己免疫現象の解析を目標に研究を進めている。本年度はShp-1 CKOを用いて実験腎炎モデルによる解析を行った。実験結果は当初に想定されていた通りの結果であり、DCにおけるShp-1は免疫寛容の維持に重要であることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題においてはShp-1 CKOに見られる自己免疫現象の解析、特に腎炎の解析を通じて、DCにおけるShp-1 の重要性を明らかにすること目標に研究を進めている。本年度においてDCに特異的に発現するShp-1が免疫寛容の維持に重要なことが明らかになったので、次年度以降は腎炎の共通の終末像としての腎線維化にも焦点を当てて解析を進める予定である。
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Research Products
(2 results)