2017 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチの治療応答性遺伝子の網羅的解析に基づく疾患活動性指標確立と治療法開発
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16K09888
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
古田 俊介 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任講師 (10422221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 裕史 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00322024)
須藤 明 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (50447306)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 関節リウマチ |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチ(RA)は滑膜炎と骨破壊を主徴とする自己免疫疾患だが、その病因は不明である。近年、RAの病態における炎症性サイトカインの重要性が示され、その機能を阻害する生物学的製剤の臨床応用により治療成績は劇的に改善した。 本研究では、各生物学的製剤(抗TNF製剤、抗IL-6受容体抗体、T細胞共刺激抑制蛋白)有効症例のCD4陽性T細胞において治療にともない共通して発現変動する遺伝子をDNAマイクロアレイ法により網羅的に探索し、その機能を解析することで、関節リウマチ(RA)の新規疾患活動性指標、並びに新規治療標的を見出し、より多くの症例に応用可能な治療法開発の基盤構築を目指すことを目的としている。 これまで研究で、各生物学的製剤有効症例のCD4陽性T細胞において治療にともない発現が変動した遺伝子ランキングで各上位3%に入る遺伝子群をオーバーラップさせたところzinc finger protein 36 ring finger protein like 2(Zfp36L2)が抽出された。Zfp36L2はzinc finger domainをもつRNA-binding proteinと考えられているが、その機能については不明な点が多い。前述の各生物製剤有効症例においては治療後、その発現が共通して有意に上昇していたことから、何らかの機序でRAの病態抑制に関与しているタンパクと推測される。今後はZfp36L2が新規RA疾患活動性指標になりうるか否かを検討するためにバリデーションコホートを構築する。また、CD4陽性T細胞におけるZfp36L2の役割を明らかにするため、マウスCD4陽性T細胞を用いたRNAiノックダウンの実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAマイクロアレイにより候補となる遺伝子は既に決定している(Zfp36L2)。 バリデーション用の患者コホートも構築中である。 Zfp36L2の機能解析のための実験準備も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
既に各生物学的製剤有効症例のCD4陽性T細胞において治療にともない共通して発現変動する遺伝子としてZfp36L2を抽出し、現在、Zfp36L2がRAの新規疾患活動性指標になりうるか否かを検討するためにバリデーションコホートを構築中である。CD4陽性T細胞におけるZfp36L2の役割を明らかにするため、マウスCD4陽性T細胞を用いてRNAiによりZfp36L2をノックダウンし、Th1細胞、Th17細胞、Tfh細胞、Treg細胞分化に対する影響や、Tbx21、RORgt、Bcl6、Foxp3発現への影響などを検討する予定である。Zfp36L2はzinc finger domainをもつRNA-binding proteinであることが示唆されているため、前述したTヘルパー細胞分化に必須な転写因子のメッセンジャーRNAの3’非翻訳領域に結合することにより、メッセンジャーRNAの安定性を制御している分子であると推測している。
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Causes of Carryover |
研究室内の他の研究者と一部のリソースを共有できなかったため。また、H29年度に予定していた実験のうち、一部年度内に行えなかったものがあるため。 H29年度に行えなかった実験分に対して使用したい。
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