2016 Fiscal Year Research-status Report
骨髄由来抑制細胞の炎症における役割の解明と新規免疫抑制療法の開発
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16K09893
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森信 暁雄 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (10294216)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 関節炎 / MDSC / 制御性樹状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
MDSC(myeloid-derived suppressor cell)は単球と好中球の表現型を持つ免疫抑制性の細胞集団である。私たちはMDSCがSKG関節炎マウスにおいて関節炎を抑制することを見出した。しかし、炎症におけるMDSCの役割については不明点が多い。そこで、SKGマウスの肺病変に集積するMDSCに注目して以下のことを明らかにした。 (1)SKGマウスの関節炎や肺病変においても集積している細胞の多くがMDSCである。このMDSCを単離して機能解析すると、T細胞の増殖を抑制することが明らかとなった。 (2) さらに私たちは、SKGマウスの肺病変が進行するにつれて、CD11b+Gr-1intの細胞集団が集積することを見出した。これらの細胞はCD11cを表出しており、樹状細胞であることが分かった。これらの細胞を取り出して機能解析したところ、MDSCと同様にT細胞増殖抑制能をもち、制御性樹状細胞であることが明らかとなった。この細胞をCD11b+Gr-1int tol-like DCと名付けた。この細胞の表現型は今までに報告されているものと一致しないため、新規tolDCではないかと考えている。(3)CD11b+Gr-1int tol-like DCは肺の細胞を培養することでMDSCの一部から誘導されることを明らかにした。肺細胞から誘導される樹状細胞は炎症制御性であったが、骨髄細胞を同様の条件で培養するとT細胞の増殖を刺激した。これらのことは、炎症の場でもMDSCは抑制的に働き、さらに制御性樹状細胞に分化してさらなる炎症制御に働くことを示している。 今後は、なぜ肺では制御性樹状細胞が誘導されるかについて解析予定である。 。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調である。 ただし、予想外の発見もあり、解析に時間がかかている。
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Strategy for Future Research Activity |
MDSCと制御性細胞について新しい知見が得られたため、この知見についても加えて解析する。
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