2016 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経ループス患者髄液中のサイトカインを規定する因子に関する研究
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16K09901
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
藤井 隆夫 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70255462)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / 中枢神経障害 / 自己抗体 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度検討した結果で、髄液中(CSF)-抗U1RNP抗体と抗NR2抗体陽性のNPSLE患者(DP, n=9)において、両者陰性(DN, n=36)、抗NR2抗体単独陽性(n=14)、抗U1RNP抗体単独陽性(n=9)の患者に比し、CSF-IL-6が有意に高濃度であった。本年は、この機序に関して検討を加えた。 CSF-抗U1RNP抗体陽性の場合、同抗体陰性に比しCSF-IL-6は高濃度にならない。すなわち、上記は抗NR2抗体存在下でのみCSF-抗U1RNP抗体に関連してCSF-IL-6上昇が見られるということになる。ここで、CSF-抗U1RNP抗体陽性の場合、ケモカインであるMIGがCSF中で高濃度になることが昨年度判明した。このCSF-MIGの濃度と、血液脳関門(Blood Brain Barrier, BBB)の透過性亢進の指標であるalbumin quotientは明らかな相関がある(r =0.44, p =0.0003)ため、最も考えられる仮説は、CSF-抗U1RNP抗体がMIG産生を中枢神経系で刺激するため、BBBの透過性亢進により抗NR2抗体がよりCSFに移行し、IL-6を上昇させる、という機序である。CSF-抗NR2抗体がBBBの透過性亢進に依存し、かつCSF中のIL-6と平行することはわれわれのデータからも明らかであるため、その抗体濃度をCSF中でさらに高めていると考えられる。当初IFN-αによるBBB透過性の亢進も考えたが、われわれのデータからは十分な根拠が得られなかった。 上記の仮説を検証するため、MIGと、CSF-抗NR2抗体価との相関あるいはIL-6との相関などをさらに検証する予定である。またMIGやIFN-αなどが刺激する中枢神経系の細胞に関しても明らかにすることを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床的な検討は十分できているが、in vitroにける実験結果がまだ乏しい。
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Strategy for Future Research Activity |
概要にも書いたが、DP群で、CSF-IL-6が最も高くなる機序として、もう一つの仮説はCSF-抗U1RNP抗体がCSF-抗NR2抗体に依存せず無関係にCSF-IL-6を高めている可能性である。昨年のわれわれのデータから、CSF-抗U1RNP抗体単独陽性であってもCSF-IL-6は高くならないが、他のサイトカイン(IFN-αやMIGなど)はCSF中高濃度となる。CSF-抗NR2抗体により、中枢神経において海馬の細胞は直接的に傷害されることが知られているが、それにより初めて自己抗原(=U1RNP抗原)がCSF中に供給され、抗U1RNP抗体と免疫複合体を作ることができる可能性がある。すなわち、CSF-抗NR2抗体存在下ではじめて抗U1RNP抗体-免疫複合体が形成され、それが他のサイトカインを誘導することで何らかの細胞を刺激し、その結果としてIL-6の濃度が高くなるという仮説である。上記の仮説を検証するため、MIGと、CSF-抗NR2抗体価との相関あるいはIL-6との相関などをさらに検証する予定である。またMIGやIFN-αなどが刺激する中枢神経系の細胞に関しても明らかにする予定である。
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Remarks |
当研究室のHPはあるが、本研究の詳細を記載したページはない
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Research Products
(4 results)