2016 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチ病態形成におけるSMAD-STATシグナル伝達ネットワーク
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16K09908
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
真村 瑞子 東京医科大学, 医学部, 教授 (60400686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住田 孝之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00183054)
尹 晶煥 東京医科大学, 医学部, 兼任助教 (30748885)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / Th17細胞 / TGF-beta / SMAD / IL-6 / STAT |
Outline of Annual Research Achievements |
1. C末端リン酸化Smad2/Smad3とJAK/STATによるTNF-α産生Th17細胞分化誘導維持機序 TGF-βI型受容体によってC末端がリン酸化される受容体SMAD: Smad2/Smad3の内、Smad3欠損Th17細胞においてはSTAT3リン酸化が促進しており、JAK/STATシグナル伝達の負の制御分子であるSOCS3の発現が有意に低下していることを見出した。Smad3の標的遺伝子が同定されたため、平成29年度以降の研究計画であったSmad2/Smad3/Smad4標的遺伝子のプロモーター解析を行い、C末端リン酸化Smad3とco-SMADであるSmad4及び転写補助因子であるp300が協調してSOCS3の転写を誘導すること、Smad2はSOCS3の転写に関与しないことを明らかにした。 2. Smad4とJAK/STATによるTNF-α産生Th17 細胞分化誘導維持機序 コラーゲン誘導性関節炎をT細胞特異的Smad4欠損マウスと野生型コントロールマウスに誘導したところ、T細胞特異的Smad4欠損マウスにおいて有意にTh17細胞が増加し、関節炎の増悪をみとめた。先行研究において、リンカーリン酸化Smad2/非リン酸化Smad3が、IL-6 信号伝達分子として働くSTAT3の転写補助活性化因子/転写補助抑制因子として関節炎病原性TNF-α産生Th17細胞分化を相反制御する新規の細胞内信号伝達機序を明らかにした(Nat Commun. 6:7600, 2015)が、Smad4はSTAT3によるTh17細胞分化制御機序には関与しないことを明らかにした。 本研究成果は第38回日本炎症・再生医学会シンポジウム13骨・軟骨の炎症と再生(骨免疫学会合同)にて本年7月19日発表予定である(http://aeplan.co.jp/38jsir/program.html)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度研究計画を完了した上、C末端リン酸化Smad3とSmad4を介するTGF-βシグナル伝達経路が、Th17細胞分化を制御する遺伝子の内JAK/STATシグナル伝達の負の制御分子であるSOCS3の転写を制御することを、申請時予定していたマイクロアレイ解析を行わずに解明し、平成29年度以降の研究計画であったSmad2/Smad3/Smad4標的遺伝子のプロモーター解析を完了した為。
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Strategy for Future Research Activity |
C末端リン酸化Smad3とSmad4を介した古典的TGF-βシグナル伝達経路はJAK/STATシグナル伝達経路の負の制御分子であるSOCS3の転写を促進することによってTh17細胞分化とコラーゲン誘導性関節炎を抑制するという本研究結果は、TGF-βがSOCS3の発現を抑制することによりTh17細胞分化を促進するという報告(Qin H et al, TGF-beta promotes Th17 cell development through inhibition of SOCS3. doi: 10.4049/jimmunol.0801986)と相反するが、C末端リン酸化受容体SMAD依存性経路と非依存性経路の相違による可能性を検討し、平成29年度内に投稿する。 TGF-β細胞内シグナル伝達経路は従来SMAD/非SMAD経路に分類されてきたが、C末端リン酸化受容体SMAD依存性経路と非依存性経路がTh17細胞分化と関節炎を異なる機序で制御すること、更に、SMADによるSTAT3シグナル制御機構は、先行研究(Nat Commun. 6:7600, 2015)で明らかにした標的遺伝子転写補助に留まらず、JAK/STATシグナル伝達ネガティブフィードバック機構制御に及ぶことを明らかにした。拠って、平成29年以降の研究計画として予定していたSMAD-STAT信号伝達ネットワークによる関節滑膜細胞制御についての研究を行わず、受容体SMAD C末端リン酸化部位やSTAT3シグナル関連分子の各種変異体を移入したTh17細胞を用いてRNAシーケンスを含めた網羅的解析を行い、同定された因子の生理的及び病態学的機能を解析する。
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