2017 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫性関節炎に特異的なFoxp3+制御性T細胞サブセットとその制御機構の同定
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16K09917
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
近藤 裕也 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40612487)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / CD4 T細胞 / 制御性T細胞 / 転写因子 / Foxp3 / RORγt |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチの動物モデルを用いた解析においては、Foxp3-GFP reporterマウスを用いた解析から、関節炎を誘導後にリンパ節内において関節炎原性のヘルパーT(Th)細胞サブセットとされるTh-17細胞分化のマスター転写因子とされるRORγtを発現したFoxp3+制御性T細胞が増加しており、これらが関節炎局所への細胞遊走に重要であるケモカイン受容体CCR6を発現し、さらに抑制性サイトカインであるIL-10を高産生する一方で、炎症性サイトカインであるIL-17産生は抑制されていることを見出した。またこれらの細胞が関節炎発症後に関節局所に集積している可能性を示唆する結果を得ている。別のモデルではあるが実験的自己免疫性脳脊髄炎で報告されたTr-17細胞と同様に、関節炎原性のTh-17細胞を特異的に抑制する制御性T細胞サブセットが関節炎モデルにおいても存在している可能性がある。これらの詳細な解析についてはFoxp3-creマウスとRORγt flox/floxマウスを交配することによって得たFoxp3+制御性T細胞でのみ転写因子RORγtを欠損するconditional knock outマウスによって検討することを予定しており、マウス作成に成功し予想通りの表現型が確認できたため、現在関節炎に関する解析を開始している。 ヒト検体を用いた解析については、治療未施行の関節リウマチ患者の末梢血および関節局所CD4+T細胞を分離したうえでマルチカーラーサイトメトリーを用いて転写因子やサイトカイン、ケモカイン受容体の発現を網羅的に解析し、末梢血におけるTh-17細胞でのRORγt、およびケモカイン受容体CCR6の増加と、これに伴った細胞遊走能の更新を認めた。これらの発現変化は、治療介入後には健常人レベルに低下しており、関節リウマチの病態形成に関連している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初から予定していたconditional knock outマウスの作成に時間を要した。しかし繁殖効率が悪かったFoxp3-creマウスについて別系統のマウスを導入したことによってマウスの作成に成功し、現在基礎的な解析ができる段階となっている。今後、予定していた関節炎モデルの解析を進めていく予定である。 ヒトの解析については、一定の結論を導くに至り、研究結果の論文報告に至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、関節リウマチの動物モデルの解析に注力して、検討を行っていく方針である。先述の通り、予定していたconditional knock outマウスの作成が遅延していたが、別系統のマウスを導入することによって、予定していたマウスの作成に成功するに至っている。今後、このマウスを用いてこれまでマウスの解析によって得ている知見が適切であるかに関して、詳細な解析を行っていく予定である。
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Research Products
(5 results)