2016 Fiscal Year Research-status Report
花粉食物アレルギー症候群の抗原毎の病態解析に基づく新規診断法の開発
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16K09920
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
森田 栄伸 島根大学, 医学部, 教授 (90182237)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 口腔アレルギー症候群 / 花粉-食物アレルギー症候群 / 抗原特異的IgE検査 / イネ科花粉 / 小麦アレルゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
花粉に感作され、果物、野菜を摂取時に口腔アレルギー症候群を示すことは花粉-食物アレルギー症候群として知られている。花粉抗原(カバノキ花粉、イネ科花粉、ヨモギ花粉、ブタクサ花粉)に感作され野菜・果物摂取にて口腔アレルギー症状を示し、プリックテストにて感作を確認した症例の血清の収集を継続して実施した。研究者は、オオアワガエリやカモガヤなどのイネ科花粉に感作され、小麦製品の摂取により眼瞼腫脹をきたす症例を複数経験した。これらの患者は食物依存性運動誘発アナフィラキシーの病態をとることも多いが、小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシーの主要抗原となるω-5グリアジン特異的IgE検査は共通して陰性であった。患者6名から血清を収集して、小麦抗原に対する免疫ブロットを行ったところ、小麦水溶性分画に反応するIgEを保有していることを見出した。患者血清をあらかじめオオアワガエリ花粉抗原と混合処理をした後免疫ブロットを行ったところ、オオアワガエリ花粉抗原の濃度に依存して、小麦水溶性分画に反応するIgE量は減少した。このことから患者IgEが認識する小麦アレルゲンはイネ科花粉との交差反応することが確認された。さらに2次元電気泳動による免疫ブロットを行い、患者IgEが認識する小麦アレルゲンの同定を進めている。この小麦アレルゲンのアミノ酸配列を決定し、精製アレルゲンを作成する、あるいは遺伝子クローニングを行い、cDNAからリコンビナントアレルゲンを作成する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血清収集は順調に進んでいる。イネ科花粉抗原に交差反応する小麦アレルゲンの解析は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
イネ科花粉に感作され、小麦アレルギーを発症した患者IgEが認識する小麦アレルゲンはイネ科花粉との交差反応することが確認された。今後は、2次元電気泳動による免疫ブロットを行い、患者IgEが認識する小麦アレルゲンの同定を進める。この小麦アレルゲンのアミノ酸配列を決定し、その解析結果から小麦タンパク質を同定する。小麦可溶性タンパク質分画から、カラムクロマトグラフィーにより小麦アレルゲン(イネ科花粉交差アレルゲンと呼ぶ)を精製する。さらに精製イネ科花粉交差アレルゲンを使用したCAP-FEIAを作成する。ω-5グリアジンに感作された従来型の小麦依存性運動誘発アナフィラキシー患者、イネ科花粉に感作され小麦アレルギーを発症した患者、アトピー性皮膚炎に罹患し小麦抗原に非特異的に感作された患者について、イネ科花粉交差アレルゲン特異的IgEを測定し、その特異度、感度を検定する。イネ科花粉交差アレルゲンが微量で十分量の精製タンパク質が調整できない場合は、該当タンパク質の遺伝子クローニングを行い、cDNAからリコンビナントアレルゲンを作成する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究には、十分量の患者血清が必要であり、当該年度は、研究に必要な患者血清を確保することに主眼をおいたため、予定の支出額を下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度に十分な血清を確保できたので、次年度は、これらを用いて解析に入る。
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Research Products
(17 results)