2017 Fiscal Year Research-status Report
ABPM患者気道真菌叢(mycobiota)多様性と病態との連関
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16K09925
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
浅野 浩一郎 東海大学, 医学部, 教授 (60192944)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アレルギー性気管支肺真菌症 / マイクロバイオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)は、気道内真菌に対する免疫・アレルギー応答により発症する重症気道疾患である。本研究ではABPM患者における気道真菌叢(mycobiota)を解析し、気道真菌叢とABPMの臨床像や免疫学的病態との連関を明らかにすることを目的としている。 初年度に構築した次世代シーケンサーを用いた微生物叢解析システムを用い、実際に10症例のABPM患者の気管支粘液栓サンプルを用いて検討を行った。うち9例では真菌由来18S rRNA遺伝子ITS領域がPCR増幅可能であり、真菌の同定が可能であった。同様の病態を呈する好酸球性鼻副鼻腔炎症例2例でも同様の検討を行ったが、検出される真菌叢のプロフィールは下気道とは全く異なっていた。 並行して気道内真菌叢がABPMの病態の主体と考えられる好酸球性粘液栓の形成に関わっているかを検証する検討を行い、ABPM患者の気道で認められる粘性の高い粘液栓形成に寄与していることを示唆することをJ Allergy Clin Immunol誌に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.ABPM患者の気道内真菌叢解析 初年度に構築した次世代シーケンサーを用いた微生物叢解析システムを用い、実際に10症例のABPM患者の気管支粘液栓サンプルを用いて検討を行った。うち9例では真菌由来18S rRNA遺伝子ITS領域が増幅可能であり、真菌の同定が可能であった。しかし、5例では亜門レベルまでしか特定ができなかったため、他のデータベースでの検証が必要と考えられた。
2.気道内真菌叢と好酸球性粘液栓との関連 アレルギー性気管支肺真菌症の病態の主体と考えられる好酸球性粘液栓の形成において、真菌が好酸球ETosisにともなうDNA trap放出を介して、粘性の高い粘液栓形成に寄与していることを証明し、J Allergy Clin Immunol誌に報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ABPA患者の気道内真菌叢解析 18S ribosomal RNAのITS領域の真菌特異的配列をPCR増幅し、大型次世代シークエンサーIonPGMを用いて解析するシステムでABPM患者の気道内真菌叢解析が可能であった。しかし、約半数の症例では亜門レベルまでしか特定ができなかったため、連携研究者の所属する千葉大学真菌センターなどの他のデータベースでの検証が必要と考えられた。また同時に、症例数をさらに増やして解析を進める予定である。
2.気道内真菌叢と好酸球性粘液栓との関連 アレルギー性気管支肺真菌症の病態の主体と考えられる好酸球性粘液栓の形成において、アスペルギルスが好酸球ETosisにともなうDNA trap放出を介して、ABPM患者の気道で認められる粘性の高い粘液栓形成に寄与していることが確認できた。今回の検討では標準真菌株を用いたが、今後は、我々が真菌バンクに蓄積してきた臨床分離真菌株を用いて同様の検討を行い、好酸球ETosisを誘導しやすい真菌の特定とその特性を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
2016年度未使用額の繰越しがあったため、2017年度に予定していたよりも研究費が若干多かったが、解析が順調に進んでいるため、次年度使用額を含めて2018年度の真菌叢解析等に全額を使用予定である。
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