2017 Fiscal Year Research-status Report
α-ヘルペスウイルス感染症の予防と治療に向けたTricinの応用
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16K09948
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
武本 眞清 北陸大学, 薬学部, 講師 (60379237)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス / 水痘帯状疱疹ウイルス / tricin |
Outline of Annual Research Achievements |
O-メチル化フラボンの一種である、4', 5, 7-trihydroxy-3', 5'-dimethoxyflavone(tricin)が、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)やインフルエンザウイルスに対して抗ウイルス作用を示すことが過去に報告されてきたが、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)・2型(HSV-2)、ならびに水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)などのαヘルペスウイルスに対しても、増殖阻害効果を示すことを新たに発見した。そこで本研究では、tricinの抗ウイルス作用のメカニズム解明を主要なテーマの一つとして設定したが、HCMVに対してはtricinがCDK9のリン酸化を阻害することにより、ウイルス遺伝子の転写を抑制していることを明らかにし報告した。さらにHSV-1やHSV-2, VZVについても同様の結果が得られた。そこで次に、実際に生体内でtricinがウイルス増殖を抑制するかどうかを検討するために、ヒトに高確率に潜伏感染している6種類のヘルペスウイルス(HSV, VZV, HCMV, EBV, HHV-6, HHV-7)の検出系を、マルチプレックスリアルタイムPCR法で確立した。本法を用いて、唾液中に不顕性に排出されるヘルペスウイルスを定量することにより、生体内でのヘルペスウイルスの再活性化の程度を数値化することができる。安全性および費用の面から、有機合成したtricinそのものではなく、天然のtricinを高濃度に含有する市販のクマザサエキスを1日1回・一定期間飲用し、唾液中のウイルスDNA量の変動を解析した。その結果、VZV, HHV-6, HHV-7のDNAが検出され、VZVは変動しなかったが、HHV-6とHHV-7のDNA量はクマザサの飲用期間中、わずかに減少していた。今後、飲用回数とn数を増やすことが課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウイルスの潜伏感染動物モデルの作成を予定していたが、より直接的に、すでにヘルペスウイルスが潜伏感染しているヒトを対象として研究を行うことに方針転換した。ただし安全性および費用の面から、有機合成したtricinそのものではなく、tricinの抗ウイルス作用発見の元となった、tricinを高濃度に含有する市販のクマザサエキスを飲用することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
クマザサエキス飲用回数とn数を増やし、クマザサエキスによるヒト体内のヘルペスウイルス再活性化抑制効果を検証する。またin vitroにおけるウイルス病態モデルにおいて、tricinの抗病態作用を、既存抗ウイルス薬のアシクロビルやアメナメビルと比較検討する。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りに予算を使用することができたが、わずかな残金が生じてしまった。これについては次年度予算と合わせて、物品費に充当する予定である。
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Research Products
(8 results)