2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new vaccine against human coronavirus causing severe pneumonia
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16K09951
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
岩田 奈織子 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (10360695)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ワクチン / 重症肺炎 / コロナウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
重症肺炎を引き起こす重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV) 及び中東呼吸器症候群コロナウイルス (MERS-CoV) に対する新規ワクチンの開発を行っている。SARS-CoVは不活化ウイルスのNタンパク質を含んだ抗原を免疫するとウイルス感染時に肺に好酸球浸潤が引き起こされる事が知られている。そこで、新規ワクチンには中和抗体の標的となるSARS-CoV及びMERS-CoVの S タンパク質のみをワクチン抗原とすることとした。最初にSARS-CoVのSタンパク質から作製した。このSタンパク質は0.1μgをマウスに2週間隔で2回、皮下免疫することにより中和抗体が誘導され、ウイルス感染防御ができることを確認した。しかし、ウイルス感染後の肺病理を確認すると顕著な好酸球浸潤が見られた。SARS-CoVは不活化ワクチンにするとウイルス感染後の肺に好酸球を誘導する事が明らかとなったため、次に好酸球浸潤を抑える免疫にする目的で、抗原免疫時にToll like receptor (TLR)リガンドを共にマウスに皮下免疫し、ウイルス攻撃実験を行った。その結果、TLRリガンドを混合した免疫を受けたマウスでは、Sタンパク質のみの免疫を行ったマウスよりも高い血清中和抗体価が得られ、そしてウイルス感染後の体重減少からの回復も早かった。また、肺病理を確認すると好酸球浸潤が抑制されており、Sタンパク質のみの免疫マウスとの違いが明らかだった。この結果から、コロナウイルスの不活化ワクチンはウイルス感染後の肺に好酸球浸潤を起こすため、これを抑制するためにアジュバントとしてTLR リガンドを混合すると効果的なワクチンになる事が分かった。SARS-CoVのワクチンについては検討できたので、この結果を基礎として、次はMERS-CoVのワクチンについて検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルスのSタンパク質のみの免疫にすれば、ウイルス感染後に起こる肺での好酸球浸潤は抑えられ、高い中和抗体誘導能を有したワクチンになると予測していたが、H30年度に行った実験結果から、コロナウイルスは不活化ワクチンにするとウイルス感染後に好酸球の誘導が起こってしまう事が分かった。好酸球誘導は呼吸器感染症ワクチンの副反応として注視されていることから改善を試みるため、追試、確認実験を行った結果、計画よりは遅れてしまった。しかし、好酸球浸潤を抑える添加物を抗原に混合することにより、Sタンパク質はワクチンとして改良できたため、着実に研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
SARS-CoVのワクチンについては検討できたので、この結果に基づいてMERS-CoVのワクチンについても研究を進めていく。また、SARS-CoVとMERS-CoVの二価ワクチンを作製し、効果についても検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが平成31年4月1日以降となったため。 当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、平成30年度分についてはほぼ使用済みである。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Acute respiratory infection in human dipeptidyl peptidase 4-transgenic mice infected with Middle East respiratory syndrome coronavirus2019
Author(s)
Naoko Iwata-Yoshikawa, Tadashi Okamura, Yukiko Shimizu, Osamu Kotani, Hironori Sato, Hanako Sekimukai, Shuetsu Fukushi, Tadaki Suzuki, Yuko Sato, Makoto Takeda, Masato Tashiro, Hideki Hasegawa, Noriyo Nagata.
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Journal Title
J Virol.
Volume: 93
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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