2017 Fiscal Year Research-status Report
劇症型溶血性レンサ球菌感染症における未熟骨髄系細胞の宿主防御機構の解析
Project/Area Number |
16K09952
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
松村 隆之 国立感染症研究所, 免疫部, 主任研究官 (50434379)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 免疫学 / 細菌感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
A群レンサ球菌(Group A Streptococcus: GAS)は、通常、上気道粘膜もしくは皮膚表面で局所感染を引き起こすが、劇症型溶血性レンサ球菌感染症では急激なショックと菌血症を伴う致死的全身感染となる。劇症型感染臨床分離株において遺伝子発現パターンに変化が認められる一方、発症には宿主要因の関与が示唆されている。しかし、劇症型溶血性レンサ球菌感染発症と病態に対する炎症メディエーターの関与は不明な点が多い。我々は劇症型レンサ球菌感染マウスモデルにおいて、宿主防御的に働く新規のインターフェロンγ産生未熟骨髄系細胞(Interferon-γ-producing immature myeloid cells: γIMCs)を発見した。さらに、野生型マウスと比較してGAS感受性が高いIL-6欠損マウスにおいてもγIMCsを同定した。野生型γIMCsを養子細胞移植したマウスにおいては劇症型感染に抵抗性を示したが、IL-6欠損γIMCsを養子細胞移植したマウスにおいては劇症型感染に抵抗性を示さなかった。また、野生型γIMCsと比べ、IL-6欠損γIMCsはGAS応答性の炎症性サイトカンの産生が減少し、抑制性サイトカンであるIL-10の産生が増加していることが示された。IL-10投与マウスでは劇症型感染に感受性が上昇し、IL-10中和抗体投与マウスでは劇症型感染に抵抗性を示したことから、IL-6欠損IMCsによるIL-10の産生増加が、IL-6欠損マウスにおけるGAS感受性上昇の一つの原因であると考えられた。現在、IL-6依存的なGASの受容体を同定し、その遺伝子欠損マウスの解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にしたがっておおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画を特に変更することなく進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
(理由)年度末納品等にかかる支払いが平成30年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成29年度分についてはほぼ使用済みである。
(使用計画)上記のとおり。
|