2016 Fiscal Year Research-status Report
呼吸器糸状菌感染症のゲノム基盤構築による局所感染機構の解明と診断・治療法への応用
Project/Area Number |
16K09954
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
梅山 隆 国立感染症研究所, 真菌部, 主任研究官 (20360696)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 感染症 / ゲノム解析 / 微生物 / 真菌 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
深在性真菌症の中でも侵襲性アスペルギルス症は、現在最も有効とされている治療薬を用いてもなお致命率が50%を超える。他の糸状菌感染症も合わせて臨床上大きな問題となっているが、感染成立機構の詳細は未だ明らかになっていない。本研究では、呼吸器感染を引き起こす糸状菌の肺胞上皮細胞との接着及び侵入のメカニズムを解明し、早期診断法と新しい治療法の開発に貢献することを目的とする。 平成28年度では、ゲノム分子基盤の構築のために、多剤耐性真菌Scedosporium prolificansおよびCunninghamella bertholletiaeのドラフトゲノムの解読を次世代シーケンサーにより行った。それぞれ、33.2 Mbおよび32.2 Mbのゲノムサイズであった。また、Aspergillus fumigatusの隠蔽種であるAspergillus lentulusおよびAspergillus viridinutansへのCas9/CRISPRゲノム編集技術を導入するために、ピリチアミン耐性マーカーを有する自律複製型ベクターpPTRII上でCas9蛋白およびguide RNAを発現させるプラスミドを構築し、形質転換することによりウラシル要求性マーカーpyrGの変異を誘発させることに成功した。 今後、多剤耐性真菌S. prolificansおよびC. bertholletiaeについて、Cas9/CRISPRゲノム編集技術を導入することを目標に研究を進めていく。さらに、A. lentulusの薬剤耐性の原因を調べるために、CRISPRライブラリーの導入を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薬剤耐性糸状菌のゲノム基盤構築として、ドラフトゲノムの解読まで終了しており、初年度計画として順調に進んでいる。また、ゲノム編集技術の導入にも成功しており、次年度の研究を進めるための準備が整ってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
多剤耐性真菌S. prolificansおよびC. bertholletiaeについて、Cas9/CRISPRゲノム編集技術の導入を進めるために、形質転換法の確立とプラスミドベクターの構築を行う。A. lentulusの薬剤耐性の原因を調べるために、CRISPRプラスミドライブラリーを大腸菌で構築し、CRISPR変異株ライブラリを作製する。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが平成29年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。 平成28年度分についてはほぼ使用済みである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のとおり。
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Research Products
(3 results)