2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of disease model fish with peroxisomal biogenesis disorder for identification of pathological agent and treatment.
Project/Area Number |
16K09963
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
高島 茂雄 岐阜大学, 研究推進・社会連携機構, 助教 (50537610)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ペルオキシソーム / ペルオキシソーム形成異常症 / 極長鎖脂肪酸 / プラズマローゲン / フィタン酸 / PEX遺伝子 / ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はヒト先天性代謝異常疾患であるペルオキシソーム形成異常症の病態発症機構の解明である。研究材料として疾患モデルフィッシュを作成しその解析を行っている。疾患モデルフィッシュはpex2遺伝子(ヒトにおける本疾患の原因遺伝子の1つ)をゲノム編集技術によって破壊することにより作成した。 本疾患モデルフィッシュ(以下、pex2変異体)は、ヒト患者と同様の病態(神経・運動機能障害、脂肪肝、短寿命)を示すことが明らかになった。神経系の異常によると思われる遊泳能力の低下や肝臓細胞内の脂肪滴の蓄積は進行性に現れることが判明した。脂肪肝形成に関連すると疑われた小胞体ストレス関連遺伝子の発現変動解析を行った結果pex2変異体では小胞体で機能する2つのシャペロンタンパク質遺伝子の発現が亢進しており、小胞体ストレスが増加していることも判明した。 これらの異常の原因となる代謝産物を明らかにするために、脳、眼、肝臓について質量分析装置を用いて脂肪酸種の網羅的解析を行った。肝臓では炭素鎖長22~26程度の極長鎖脂肪酸の蓄積がみられた一方で脳や眼では鎖長26~38までの非常に長い極長鎖脂肪酸の蓄積が見られ、特に二重結合数の多い多価不飽和超極長鎖脂肪酸が顕著に蓄積していた。ヒト患者の臓器で蓄積する脂肪酸種の詳細は不明だが、本解析から明らかになった脂肪酸種の蓄積がヒト患者の病態発症の原因である可能性が考えられる。 pex2変異体における遺伝子発現変動を明らかにするためマイクロアレイによる発現解析を行った。その結果pex2変異体では脂肪酸・脂質代謝関連遺伝子、トランスポーター膜タンパク質、クリスタリン関連遺伝子ファミリー、ミオシン関連遺伝子、精子・卵形成関連遺伝子等にに顕著な変動が見られた。これらの遺伝子発現変動が表現型進行に関係していると考えられる。今後は発症への関与が推測される脂肪酸種について病態発症効果を確認していく予定である。
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