2016 Fiscal Year Research-status Report
小児腹部手術周術期におけるグレリンの病態生理学的意義の検討と臨床応用に向けた研究
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16K09966
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
銭谷 昌弘 兵庫医科大学, 医学部, 病院助手 (40643531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 宏臣 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30252670)
高間 勇一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50467560)
山中 宏晃 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70467570)
大植 孝治 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50314315)
田中 夏美 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (20456958)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グレリン / 小児 / 腹部手術 / 手術侵襲 |
Outline of Annual Research Achievements |
グレリンは胃から分泌される消化管ペプチドホルモンであり、摂食促進や消化管運動促進や抗炎症作用など多彩な生理活性を有する。成人外科領域では、周術期の血中グレリン濃度と手術侵襲との関連が報告されているが、小児を対象としたグレリンに関する研究報告は少なく、特に小児外科領域における周術期の血中グレリン濃度の変化に関する報告はない。本研究は小児外科疾患において、周術期の血中グレリン濃度が術後経口摂取再開までの期間や術後炎症所見と相関するとの仮説に基づき、手術を受ける患児を対象として周術期の血中グレリン濃度を測定し、術後回復との関連を検討する。本研究の成果は将来的に、手術侵襲からの早期回復を期待したグレリン投与試験への足掛かりとなることが期待できる。 平成28年度は症例集積を主に行い、周術期の血液検体より血中グレリン濃度の測定を行った。疾患・術式別にその推移を検討し、さらに疾患・術式ごとに術後の胃排出機能、経口摂取回復、炎症マーカーの推移、術後合併症の有無等の臨床経過と周術期の血中グレリン濃度との関連性を検討した。 上記の検討の結果、侵襲の大きな手術(生体部分肝移植等)において術後に血中グレリン濃度が大きく低下することが判明した。さらに、血中グレリン濃度の推移が手術侵襲、術後胃排出機能、経口摂取回復と相関する可能性が示唆された。 今後さらに症例を蓄積し、血中グレリン濃度の推移とこれら臨床所見の関連性を明らかにし、術後に血中グレリン濃度の低下する術式に対して、予防的に合成グレリンの投与やグレリンを分泌促進するとされる六君子湯を投与することで、術後早期経口栄養摂取や手術侵襲による炎症反応の軽減効果を得られるかを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り症例の蓄積を行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り症例の蓄積は行っているが、小児外科疾患の希少性のためさらに症例蓄積の継続が必要である。さらに症例数を増やして、血中グレリン濃度の推移と手術侵襲や術後経口摂取の回復に関連性について検討を行う。
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Causes of Carryover |
前年度までにある程度の物品をそろえたため、次年度使用額が生じたと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
血中グレリン濃度の測定をすすめ、また可能であれば炎症性サイトカインの測定も行う。またこれまでの成果について学会発表をすすめ、結果がまとまり次第論文化をすすめる計画である。
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