2016 Fiscal Year Research-status Report
Mfsd2遺伝子KOマウスを用いた、脳内DHAによるエネルギー代謝調節機構の解明
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16K09971
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
澤田 浩武 宮崎大学, 医学部, 講師 (40332895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盛武 浩 宮崎大学, 医学部, 准教授 (40336300)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Mfsd2 / ノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
脳はグルコース代謝だけでなく、脂肪酸代謝を活発に行っている臓器でもある。脳内の脂質はグルコースからも供給されるが、多くは血液脳関門を介して末梢から供給される。したがって、脳はグルコース代謝を中心としながらも脂肪酸代謝においても末梢組織と同様の調節機能を備えている。中でもDHAはエネルギー源であるとともに、正常な脳の成熟や機能に中心的な役割を果たす主要な多価不飽和脂肪酸である。しかし、脳内にDHAの合成酵素はなく、末梢から供給される必要がある。Mfsd2はDHAのトランスポーターとして末梢のDHAを脳内に供給する役割を果たすことが2014年に明らかとなった。本研究は、末梢のDHA が十分であるにもかかわらず、脳内のDHA が欠如するMfsd2 KO マウスの解析を通じて、脳内DHA がエネルギー代謝調節機構および食物選択行動調節機構にどのような影響を及ぼしているかを解明する。 Mfsd2ノックアウト(KO)マウスの自由行動を解析した結果、①細い橋(約4.5cm)を渡る行動において、しばしば前方から、あるいは後ずさりして後方から落下し、KOマウスは、注意力、集中力が低下しているか、平行感覚が低下している、②野生型(WT)マウスを後から同居させたとき、WTマウスが近寄るとフリーズし易いことから、恐怖心、不安を強く感じる、特性であることが判明した。これらの特性、およびKOマウスの脳重量が体格差を考慮してもWTマウスよりも小さいことから、脳に構造的な違いがあることが示唆された。これらを明らかにするために、8方向放射状迷路試験を行った。その結果、記憶、認知機能が低下していた。、現在、脳の組織学的評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. KOマウスの繁殖が悪いため 2. コストを節約する目的で血液検体や臓器についてはすべて採取した後に、一斉に評価することを予定しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
KOマウスの脳の組織学的評価と、摂食行動およびエネルギー代謝特性、代謝関連遺伝子発現を評価する。
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Causes of Carryover |
初年度に計画していた、「KOマウスの行動研究」は完了したが、マウスの繁殖が悪いため、「DHAとMfsd2の末梢および中枢における分布発現部位および経時的変化の確認」「食事組成に伴うDHA、LPC、Mfsd2の分布・発現変動の解析」「Mfsd2 KOマウスの食物選択行動およびエネルギー代謝特性の検討」に関する実験が完了していない。また、すでに行った実験でKOマウスから採取した血液検体や組織は、経費削減の観点から、繰り返す実験のすべてを終了してからまとめて測定、組織標本作成を行う予定で、現在はストックしている。そのため測定にかかる費用や組織標本作成にかかる費用をまだ使用していない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、繁殖方法を変更し、徐々にKOマウスの個体数が増加している。これにより、平成28年度に予定していた、「DHAとMfsd2の末梢および中枢における分布発現部位および経時的変化の確認」「食事組成に伴うDHA、LPC、Mfsd2の分布・発現変動の解析」「Mfsd2 KOマウスの食物選択行動およびエネルギー代謝特性の検討」を完了する予定である。必要な検体、および組織を平成29年度にも採取し、すでに平成28年度に採取している検体と組織とあわせて評価する予定である。その後、引き続き、平成29年度以降に予定している、「Mfsd2 KOマウスのエネルギー代謝関連因子の解析」「Mfsd2 KOマウスの摂食関連因子の発現およびホルモン動態の解析」を行う予定である。
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