2016 Fiscal Year Research-status Report
母乳脂質濃度調節における核内受容体およびドコサヘキサエン酸の相互作用の解明
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16K09976
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
瀧谷 公隆 大阪医科大学, 医学部, 講師 (80319540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 浩 大阪医科大学, 医学部, 教授 (30179874)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 母乳 / 核内受容体 / ドコサヘキサエン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
母乳は乳児にとって、理想的な栄養物である。多くの母乳成分は、初乳から移行乳を経て、成乳に成るとともに成分含量は急激に変化する。授乳期の経過とともに、母乳中のタンパク質、ミネラル成分は顕著に減少し、逆に乳糖および脂肪成分は上昇する。また最初の30日間において、母乳中の脂質濃度は増加するが、これらの脂質濃度調節機構は不明であった。我々は、乳腺組織に存在する核内受容体群(LXR: liver X receptor とPPARα: peroxisome proliferator-activated receptor、脂質代謝に関係する転写因子)が母乳中の脂質濃度調節に関与することを見いだした。また、DHA(ドコサヘキサエン酸)は、胎児・乳児の神経発達に重要な不飽和脂肪酸であり、さらには脂質代謝に関係する核内受容体の活性化に影響することで知られている。今までの研究成果を進めて、DHAが授乳期の乳腺組織において核内受容体(LXRとPPARα)の活性化に影響するメカニズムと母乳脂質濃度調節に関与するか否かを検討する。実験系としては、主に動物実験を行い、授乳期の乳腺組織における核内受容体(LXRとPPARα)の標的遺伝子群と脂質およびDHA濃度との相関を検討する。さらに核内受容体(LXRとPPARα)の遺伝子欠損マウスを用いて、DHA濃度への影響も研究する。現在、予備実験として、母乳中のDHA濃度と脂質、脂溶性ビタミン濃度との相関を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)DHAと脂質・脂溶性ビタミンとの相関 Wistar 雌ラット(17週齢)妊娠期および授乳期(4・14・21日)において、母体乳腺および肝臓組織の脂質代謝調節遺伝子群(核内受容体LXR、PPARαおよびFXRの標的遺伝子群)の発現変化をreal-time PCR法で検討した。その結果、授乳期において、LXRの標的遺伝子群の発現が若干変動していた。また、母体および授乳中のDHAを測定し、脂質および脂溶性ビタミンとの相関を検討中である。 2)LXRα遺伝子欠損マウスおよびPPARα遺伝子欠損マウスにおける母乳脂質動態に関する検討:現在、遺伝子欠損マウスの準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)DHAと脂質・脂溶性ビタミンとの相関 母体および母乳中DHA濃度と脂質・脂溶性ビタミンとの相関を検討し、さらに母体肝臓および乳腺組織の遺伝子発現との相関も検討してみる。 2)LXRα遺伝子欠損マウスおよびPPARα遺伝子欠損マウスにおける母乳脂質動態に関する検討: 哺乳LXRα遺伝子欠損マウスおよびPPARα遺伝子欠損マウスに、それぞれ PPARαとLXRのリガンドを投与する。投与後翌日-2日後に、乳腺組織を摘出する。また血液および母乳を採取する。母乳中の脂質濃度(中性脂肪・コレステロール・総脂質など)およびDHA濃度を測定し、母乳中濃度に影響が見られるか否かを検討する。また、母乳中DHA濃度と脂質濃度の相関を検討する。
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Causes of Carryover |
動物実験において、既存の試薬を用いることで、残額が生じた。次年度の実験試薬代に充当する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額(124,003円)は、分子細胞生物実験の試薬代およびプラスチック製品代に充当する予定である。
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