2018 Fiscal Year Research-status Report
脳性麻痺1200例から見出した脳MRI正常群の原因遺伝子の同定
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16K09983
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
萩野谷 和裕 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00208414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 敦生 東北大学, 大学病院, 助教 (30447156)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳性麻痺 / 遺伝子 / 満期産 / てんかん性脳症 / 遺伝性痙性対麻痺 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年からの研究の継続で、宮城県立こども病院で診察している897例の脳性麻痺・脳性麻痺様患者の中でも1) 満期産で出生し、かつ2) 頭部MRI注4画像で明確な異常を認めない患者により多く遺伝的要因が関与していると仮定し、そのような特徴を持つ原因不明の脳性麻痺様患者107名から、17名とその両親について同意を得て遺伝子解析を行った。マイクロアレイCGH解析およびトリオ全エクソーム解析を行った結果、9名(52.9%)の患者に遺伝子変異があることを確認した。また、確認された遺伝的変異の大部分は両親からの遺伝ではなく、新たに発生したものであることが明らかとなった。確認した遺伝子はCTNNB1, CYP2U1, SPAST, GNAO1, CACNA1A, AMPD2, STXBP1, SCN2Aであり、一部は遺伝性痙性対麻痺の遺伝子であり、一部はてんかん性脳症の遺伝子であった。遺伝性痙性対麻痺の遺伝子変異例では長期の経過観察にても退行はなく、超早期発症の本遺伝子の変異では、脳性麻痺と同様な経過をとるタイプが存在することが推察された。
本研究の結果は、多様な背景をもつ脳性麻痺・脳性麻痺様患者において、ある同じ条件に当てはまる患者に対して遺伝学的検査を進める根拠の一つとなる。遺伝子変異が判明した場合、個々の病態にあわせた適切な医療的介入(精密医療:プレシジョン・メディシン)を行えることが期待される。さらには脳性麻痺やそれに酷似する遺伝性疾患全体の将来的な病態解明や治療法の開発の促進に寄与するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで17例の患者とその家族を解析し、53%の確率で病原となる候補遺伝子を確定した。このことは、当初の想定を超える高率な発見であった。この事実は、脳性麻痺は遺伝子異常により引き起こされる一群が存在するのか、脳性麻痺様の発達性脳症を発現させる遺伝子異常があるのかなど、脳性麻痺の概念の変更に迫るような内容を内包している。今後まだ未解析の90例に関して検討を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で比較的多数例で検討した網羅的ゲノム解析による脳性麻痺の原因遺伝子に関する報告は、国内では我々以外になく、世界的に見てもオーストラリアのグループのみである。今年の米国脳性麻痺学会(AACPDM2018, 2018年10月)でも「脳性麻痺の遺伝子」に関する全体討論で、演者が我々の論文を唯一紹介して「遺伝子と脳性麻痺の定義」に関して1時間の活発な討論が持たれた。
今後、満期産でMRI異常のない脳性麻痺患者について、さらに症例数を増やして研究を深化させる予定である。また、一部の遺伝子変異については、in vitroでの機能変化を確認していく予定である。全国の脳性麻痺の診療施設に働きかけて、他施設での共同研究を立ち上げ、さらに多数例での検討ができないか、考慮中である。
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Causes of Carryover |
当該研究のタイトルに沿った研究を遂行中であるが、さらに検討症例が増えており、幅広い症例に関して検討を進めていく予定である。
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[Journal Article] Genomic analysis identifies masqueraders of full-term cerebral palsy2018
Author(s)
Yusuke Takezawa, Atsuo Kikuchi, Kazuhiro Haginoya, Takehiko Inui, Noriko Togashi, Mai Anzai, Sato Suzuki-Muromoto, Takuya Miyabayashi, Wakaba Endo, Yukimune Okubo, Yasuko Kobayashi, Akira Onuma, Shigeo Kure, Yoko Aoki, Keiko Nakayama, Ryo Funayama, Matsuyuki Shirota, Saeko Yamamura-Suzuki
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Journal Title
Annals of Clinical and Translational Neurology
Volume: 5
Pages: 538-551
DOI
Peer Reviewed
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