2016 Fiscal Year Research-status Report
インスリン様成長因子とその結合蛋白の異常に起因する成長ホルモン不応症の解明
Project/Area Number |
16K09989
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
神崎 晋 鳥取大学, 医学部, 教授 (90224873)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 晋一 鳥取大学, 医学部, 准教授 (50343281)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 新生児低血糖 / インスリン様成長因子 / インスリン受容体基質 / インスリンシグナル / IRS-2 / IGF-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:新生児低血糖症の要因は、グリコーゲンの蓄積不足や糖新生の未熟性、高インスリン血症の存在などが指摘されているが不明な点が多い。新生児期早期の糖代謝において、インスリン受容体基質(IRS)をはじめとするインスリン/IGFシグナルを評価した文献は少ない。新生児期早期の血糖とインスリン/IGFシグナルの関連を明らかにした。 方法:当院で出生した新生児を対象とし、AGA群(42例)とSGA群(10例)で検討した。分娩・出生時の臍帯血もしくは児血液から、血糖、インスリン、IGF-Iを測定した。また、real time PCR法を用いて、同検体中のIGF1R、INSR、IRS-1、IRS-2、GLUT2、4 (SLC2A2、SLC2A4)遺伝子のmRNA発現量を解析した。 結果:対象となった新生児52例は、平均在胎週数38週で、平均体重はAGA群が2931g、SGA群が1886gであった。血糖値はSGA群が有意に低く、IGF-IはAGA群が有意に高値を示したが、高インスリン血症は無く両者に差を認めなかった。また、SGA群でIRS2、の発現量は有意に増加を認めた。IGF1R、INSR、IRS1、SLC2A2 , 4には2群間に差を認めなかった。 考察・結論:IRSはインスリンシグナルにおける重要な因子で、IRS-2の発現は飢餓の際に増加し、インスリン作用によって減少する。本研究では、SGA群の臍帯血中において、IRS2 mRNAの発現増加を初めて明らかにした。一方、過去の報告では、新生児のIGF-I値は体重に応じて増加すると報告されており、本研究でも、IGF-I値はAGA群>SGA群であり、過去の報告と矛盾しない結果であった。IRS2 mRNA発現増加が、SGAにおける血糖低下に寄与している可能性があり、研究を継続する予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新生児52例について、AGA群(42例)とSGA群(10例)に分類して,分娩・出生時の臍帯血もしくは児血液から、血糖、インスリン、IGF-Iを測定した。また、同じ検体を用いて,インスリン/IGFシグナルであるIGF1R、INSR、IRS-1、IRS-2、GLUT2、4 (SLC2A2、SLC2A4)遺伝子のmRNA発現量を解析した。 その結果、血糖値はSGA群が有意に低く、IRS2の発現量が有意に増加をしていることを明らかにした。 IRS2 mRNA発現増加が、SGAにおける血糖低下に寄与している可能性があり、研究を継続する予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、1)原因不明の低身長児,特に血中IGF-I値が低値を示す症例,を対象にIGF-Ⅱ、IGFBP-3やALSの遺伝子解析を行い,IGF-Ⅱ、IGFBP-3やALSの機能異常に起因する成長障害を明らかにする。2)In vitroの系を用いて、見出したIGF-Ⅱ、IGFBP-3やALS遺伝子異常とその機能に及ぼす影響を解明する。 この研究目標に従い、次年度以降は以下を行う 1.臨床対象での検討:原因不明の、特に血中IGF-I血が低値を示す低身長児やSGA性低身長児症例を対象に、IGF-Ⅱ、IGFBP-3、ALSおよびIGF受容体遺伝子の変異を探索する。 2.In vitroでの検討:1)Informed consentを得た後、変異IGFBP-3あるいはALS遺伝子を有する対象者の血清のWestern blotを行い、変異IGFBP-3あるいはALS蛋白とIGF-Iとの結合能を検討する. 2)見出された変異IGF-Ⅱ遺伝子あるいはIGF受容体遺伝子をCHO細胞に発現させ,変異IGF-ⅡやIGF受容体遺伝子の機能を、細胞増殖能、IGF-Iとの結合能、IGF受容体リン酸化能で評価する。
|
-
-
-
[Journal Article] Effects of financial support on treatment of adolescents with growth hormone deficiency: a retrospective study in Japan2016
Author(s)
Maeda E, Higashi T, Hasegawa T, Yokoya S, Mochizuki T, Ishii T, Ito J, Kanzaki S, Shimatsu A, Takano K, Tajima T, Tanaka H, Tanahashi Y, Teramoto A, Nagai T, Hanew K, Horikawa R, Yorifuji T, Wada N, Tanaka T
-
Journal Title
BMC Health Serv Res
Volume: 16
Pages: 602
Peer Reviewed
-
-
[Journal Article] Systematic molecular analyses of SHOX in Japanese patients with idiopathic short stature and Leri-Weill dyschondrosteosis2016
Author(s)
Shima H, Tanaka T, Kamimaki T, Dateki S, Muroya K, Horikawa R, Kanno J, Adachi M, Naiki Y, Tanaka H, Mabe H, Yagasaki H, Kure S, Matsubara Y, Tajima T, Kashimada K, Ishii T, Asakura Y, Fujiwara I, Soneda S, Nagasaki K, Hamajima T, Kanzaki S, Jinno T, Ogata T, Fukami M; Japanese SHOX study group
-
Journal Title
J Hum Genet
Volume: 61
Pages: 585-591
DOI
Peer Reviewed
-
-
-