2016 Fiscal Year Research-status Report
シナプス異常症としての自閉症、知的障害の治療法開発に向けた病因と病態解析
Project/Area Number |
16K09995
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
山形 崇倫 自治医科大学, 医学部, 教授 (00239857)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 自閉症スペクトラム / 染色体コピー数多型 / 概日リズム関連遺伝子 / NR!D! / 学習障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. CNVおよび病因遺伝子同定と機能解析: ASD患者でaCGH解析を16年度は患者35名に実施した。NRXN 等、既知の病因遺伝子を含む染色体の微小欠失・重複(CNV)も複数検出された。これまでの解析結果も含め、新たな候補遺伝子として、Chr 1q25.1のGPR52, RABGAP1L、Chr14q32.1のBDKRB1, BDKRB2、8p23.2のCSMD1、6p25.3のDUSP22、その他の遺伝子を抽出し解析している。いくつかの遺伝子で、ASDの病因である可能性が示唆されている。また、全エクソーム解析を8例に実施し、候補遺伝子が複数検出され、解析に着手した。学習障害と皮膚、目の症状を持つ患者でClass III phosphoinositide 3-kinaseの欠失を同定し、この遺伝子の、神経ネットワークやシナプス形成、疾患との関連を明らかにした。 2. 概日リズム関連遺伝子解析: 以前の解析で、概日リズム関連遺伝子変異を検出しており、それらの中で、まず、TIMELESSとNR1D1を解析した。NR1D1解析では、マウス子宮内で胎児脳のNR1D1の発現を抑制した結果、神経細胞の移動障害、神経突起の伸長障害等が確認され、NR1D1の神経形成、突起伸長とシナプス形成への関与が示唆された。この神経細胞移動障害は正常遺伝子導入でレスキューされるが、ASD例で検出されたp.R500H変異遺伝子導入ではレスキューされず、この変異が遺伝子機能を低下させることが確認された。TIMELESSのノックアウトマウスの行動解析で行動の違いが検出され、解析継続中である。 3. 治療法開発: 生理学との共同研究で、ASD治療候補薬が選定され、臨床研究の準備を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A. ASD患者を対象とした病因遺伝子解析として、CNV解析を約50例に実施し、検出された遺伝子の他の患者での変異解析、概日リズム関連遺伝子のエクソンキャプチャーによる変異解析、全エクソーム解析に着手、およびマウス子宮内遺伝子導入技術等による遺伝子機能解析を計画した。 CNV解析は35例にとどまったが、複数の候補遺伝子が抽出され、他の患者での変異解析を実施している。一部の遺伝子で、遺伝子機能解析に着手しており、ほぼ計画通りに実施されている。概日リズム関連遺伝子のエクソンキャプチャーによる変異解析は、以前の解析で候補遺伝子が挙げられ、有効な方法として解析継続を企画したが、次項の様に、有望な遺伝子の変異解析実施と、全エクソーム解析実施することにより確認されるため、中止した。全エクソーム解析に関しては、既に8例に実施し、結果を得て、候補遺伝子も挙げられて解析に着手しており、順調に進んでいる。 B.概日リズム関連遺伝子の機能解析では、NR1D1に関して、神経ネットワークの形成と機能に関与することと、ASDとの関連を示しており、計画以上に進んだ。PER3の解析にも着手しており、順調である。患者変異細胞解析とiPS細胞作製に関しては、iPS細胞はまだ作製されていない。これまで解析した遺伝子に関しては、他の方法で機能解析が行われており、iPS細胞がなくても解析可能であった。今後、必要な遺伝子が検出された場合は作製を検討する。遺伝子改変マウス解析としれ、Timelessのノックアウトマウスの行動解析を実施し、有望な結果が得られてきており、順調である。 C. 治療介入研究は、29年度以降に検討予定であったが、既に治療候補分子が選定され、臨床研究実施準備に着手しており、当初の計画以上に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析で、順調に結果が得られており、解析を継続する。 CNV解析、および全エクソーム解析も継続する。これまでのこれらの解析、および概日リズム関連遺伝子解析で候補遺伝子が数個挙げられており、これらの遺伝子の機能解析および疾患との関連性の確定も重点的に実施する。iPS細胞は、機能解析等で作製すべき遺伝子の変異が検出された場合には作製する。 治療法開発に関しては、現在挙げられている薬物の臨床研究を、倫理委員会の承認を得しだい実施する。また、他の治療候補薬の検索、遺伝子治療法開発に向けた研究は継続する。
|
Research Products
(4 results)
-
-
[Journal Article] Assessment of Autistic Traits in Children Aged 2 to 4 1/2; Years With the Preschool Version of the Social Responsiveness Scale (SRS-P): Findings from Japan.2017
Author(s)
Stickley A, Tachibana Y, Hashimoto K, Haraguchi H, Miyake A, Morokuma S, Nitta H, Oda M, Ohya Y, Senju A, Takahashi H, Yamagata T, Kamio Y
-
Journal Title
Autism Res
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Role of Class III phosphoinositide 3-kinase in the brain development: possible involvement in specific learning disorders.2016
Author(s)
Inaguma Y, Matsumoto A, Noda M, Tabata H, Maeda A, Goto M, Usui D, Jimbo EF, Kikkawa K, Ohtsuki M, Momoi MY, Osaka H, Yamagata T, Nagata KI
-
Journal Title
J Neurochem
Volume: 139
Pages: 245-55
DOI
Peer Reviewed
-
[Presentation] PIK3C3 is responsible gene for epidermal nevus, cataract and learning disorder.2016
Author(s)
Matsumoto A, Inaguma Y, Usui D, Goto M, Jimbo EF, Tabata H, Maeda A, Kikkawa K, Momoi MY, Osaka H, Nagata KI. Yamagata T
Organizer
American Society of Human Genetics 2016 Annual meeting
Place of Presentation
Vancouver
Year and Date
2016-10-18 – 2016-10-22
Int'l Joint Research