2017 Fiscal Year Research-status Report
生化学診断が困難な原発性副腎皮質機能低下症の分子基盤の解明と新規責任遺伝子の同定
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16K09998
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
天野 直子 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (70348689)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 副腎低形成症 / 副腎皮質 / 発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)「生化学診断が困難な原発性副腎皮質機能低下症」の対象症例は63 例について遺伝子解析を行った。全63例中54例で遺伝子変異を同定した(STAR 19例、NR0B1 20例、SAMD9 8例、AAAS 3例、NNT 2例、MC2R 1例、CDK N1C 1例)。対象症例の臨床データを用いて各単一遺伝子疾患の臨床的特徴および遺伝子型-表現型関連についてまとめた学術論文を投稿し、受理された。論文はEuropean Journal of Endocrinologyの2017年8月号に掲載された。 2)-1.遺伝子A 内に微細欠失を有する先天性副腎低形成症3例を経験した。オリゴアレイCGHとPCR-直接シークエンス法を用いて3例中2例の欠失切断点を同定した。しかし、残りの1例の欠失切断点を同定できていない。 2)-2.我々は成獣および新生仔マウス副腎を用いてin situ hybridization を行い、副腎皮質被膜下における遺伝子Aの発現を確認した。遺伝子A の一過性強制発現系(HEK293細胞、CMV プロモーターによる遺伝子A 過剰発現下)におけるWnt-βカテニンシグナル機能解析系を確立し、野生型および変異体(該当領域欠失)のβカテニン産生量をルシフェラーゼアッセイ(TCF/LEFレポーターアッセイ)により比較したところ、遺伝子Aの過剰発現下において、野生型・変異体ともにβカテニン産生を抑制した。この結果より、一過性強制発現下の機能解析系では検討困難と判断した。そこで、遺伝子Aの薬剤誘導性安定発現株(HEK293細胞、cumate誘導性およびテトラサイクリン誘導性PiggyBacトランスポゾン発現ベクターを使用)を樹立した。樹立した遺伝子A 薬剤誘導性安定発現株を用いて機能解析系(ルシフェラーゼアッセイによるβカテニン産生量の定量)を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) 「生化学診断が困難な原発性副腎皮質機能低下症」を対象とした遺伝子解析結果おとび各単一遺伝子疾患の臨床的特徴および遺伝子型-表現型関連についてまとめた学術論文が、European Journal of Endocrinologyに受理され、2017年8月に掲載された。 2)-1. 切断点未確定1例について、次世代シークエンス法を用いて全ゲノムシークエンス解析により切断点同定を試みたが、polyA配列存在しており、切断領域の予測範囲を狭めることはできたが、切断点同定には至らなかった。 2)-2. 遺伝子A 薬剤誘導性安定発現株を用いて機能解析系(ルシフェラーゼアッセイによるβカテニンの定量)を行った。遺伝子A の薬剤誘導型安定発現株にルシフェラーゼ発現ベクター(TCF/LEF レポーター)を導入し、誘導薬剤(cumateおよびテトラサイクリン)とヒトWnt3a とヒトRSPO 1 を培養液中に添加後にONE-GLO reagent を添加し、蛍光強度を定量した。誘導薬剤の添加量と添加時間、Wnt3 a とRSPO1添加量と添加時間について条件検討を行った。結果、Cumate誘導システムでもTet-on誘導システムにおいても誘導薬剤量依存的に野生型・変異体ともにWnt3a・RSPO1添加後のβカテニン産生が低下し、両者ともばらつきが大きく有意差を確認できなかった。しかし、さらなる検討で培養期間が1か月を超過すると薬剤誘導なしでも、変異体のみWnt3a・RSPO1添加後のβカテニン産生が低下すると判明した。これは薬剤誘導安定発現株において、リークにより遺伝子Aから発現した野生型と変異体タンパク質Aの機能に差があることを表していると考えた。以上より、遺伝子A安定発現株(薬剤誘導なし)を樹立し、Wnt-βカテニン産生量について追加検討することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2)-1.全ゲノムシークエンス解析で狭めた予測切断領域を参考に、再度PCR-直接シークエンス法で切断点同定を試みる。 2)-2.遺伝子A の安定発現株を樹立するための、PiggyBacトランスポゾン発現ベクターを作成する。具体的には、PiggyBac Dual Promoter VectorのMulticloning siteに薬剤誘導型PiggyBacトランスポゾン発現ベクターから遺伝子AのcDNA(野生型・変異型)を切り出して挿入する。作成したPiggyBacトランスポゾン発現ベクターとSuper PiggyBac Transposase Expression VectorをHEK293細胞にコトランスフェクションし、遺伝子Aの安定発現株を樹立する。遺伝子A 安定発現株にルシフェラーゼ発現ベクター(TCF/LEF レポーター)を導入し、ヒトWnt3a とヒトRSPO 1 を培養液中に添加後にONE-GLO reagent を添加し、蛍光強度を定量する。薬剤誘導型での条件を参考に、ヒトWnt3 a とヒトRSPO1添加量と添加時間について条件検討を行う。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Genetic defects in pediatric-onset adrenal insufficiency in Japan2017
Author(s)
Naoko Amano, Satoshi Narumi, Mie Hayashi, Masaki Takagi, Kazuhide Imai, Toshiro Nakamura, Rumi Hachiya, Goro Sasaki, Keiko Homma, Tomohiro Ishii, and Tomonobu Hasegawa
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Journal Title
European Journal of Endocrinology
Volume: 177
Pages: 187-194
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A Novel Case of Somatic KCNJ5 Mutation in Pediatric-Onset Aldosterone-Producing Adenoma.2017
Author(s)
Uchida N, Amano N, Yamaoka Y, Uematsu A, Sekine Y, Suzuki M, Watanabe J, Nishimoto K, Mukai K, Fukuzawa R, Hasegawa T, Ishii T.
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Journal Title
Journal of the Endocrine Society
Volume: 1
Pages: 1056-1061
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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