2016 Fiscal Year Research-status Report
呼吸鎖複合体の量的・質的評価による未診断ミトコンドリア病患者の病因解明
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16K09999
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
三牧 正和 帝京大学, 医学部, 教授 (40392419)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミトコンドリア病 / ミトコンドリア呼吸鎖酵素 / Blue-Native電気泳動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリア呼吸鎖はミトコンドリア内膜に局在する大分子複合体であるが、Blue Native 電気泳動 (BN-PAGE) では、呼吸鎖複合体を分解することなく泳動することができ、引き続くイムノブロット解析により複合体の量及び大きさを評価することが可能である。 従来より行っていた複合体I, II, III, IVの評価に加え、平成28年度は複合体Vの評価に適した検査系を確立した。複合体Vはタンパク複合体を保ったまま泳動することが難しく、またイムノブロット法で用いる抗体の選定にも時間を要したが、患者診断に用いることが可能な条件を決定することができた。 また、呼吸鎖酵素活性についても測定系を立ち上げたが、これについても従来他施設でも行われている複合体I, II, III, IVの評価に加え、複合体Vの機能評価も可能な体制を整えた。ATP合成をみることは不可能であるが、逆反応をみることで複合体Vの活性を評価することができ、validationも終了した。 BN-PAGEによる呼吸鎖酵素の量的変化、分子量変化の評価、酵素活性による機能評価をあわせることにより、ミトコンドリア病患者の診断に役立てることができる。従来ミトコンドリア機能と無関係と考えられていた遺伝子異常が患者で見出され、ミトコンドリア病の疾患概念が広がりをみせている現在、これらの複数の検査方法を用いて多角的にミトコンドリア異常を証明することは、患者診断上極めて重要かつ有効だと思われる。また、従来診断が難しかった複合体V欠損症についても評価ができるようになったことも、臨床面における重要性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究助手の体調不良等があり、新たな研究助手の雇用を余儀なくされた。実験手技の教育に時間を要したため、研究の進捗に当初の計画より若干の遅れがみられる。しかし、新しい研究助手が技術を習得したため、ミトコンドリア呼吸鎖酵素活性測定やBlue-Native電気泳動法を用いた解析が可能となり、平成28年度の後半は順調に解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に確立した検査系については、同年度に新たに雇用を開始した研究助手が既に習得している。前任者の辞職に伴う研究の若干の遅れについては、平成29年度中に取り戻せる見込みで、全国から集められたミトコンドリア病疑いの患者検体の解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
研究助手が体調不良などを理由に辞職したため、新しい研究助手を選び雇用するまでに時間を要した。その間の人件費や、研究に使用する消耗品の出費が予定より減少したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新しい研究助手が研究手法を習得したため、29年度は研究計画に沿って遂行する予定である。そのため、前年度から繰り越した人件費や消耗品費は使用する計画である。
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Research Products
(5 results)