2016 Fiscal Year Research-status Report
機能性ナノ磁気微粒子を用いた新規抗てんかん薬の作用機序解明と脳保護作用の探索
Project/Area Number |
16K10000
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
山中 岳 東京医科大学, 医学部, 講師 (70349512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石 龍徳 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (20175417)
河島 尚志 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (70224772)
半田 宏 東京医科大学, 医学部, 特任教授 (80107432)
善本 隆之 東京医科大学, 医学部, 教授 (80202406)
松本 哲哉 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (10256688)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 機能性ナノ磁気微粒子 / てんかん / 急性脳症 / 脳保護 / 新規抗てんかん薬 / サイトカイン / フローサイトメトリー / モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
小児けいれん性疾患の代表であるてんかんや急性脳症は決して稀な病気ではない。しかしながら、未だに病態は不明な点が多く確立した治療法がない。後遺症を残す可能性もあることから新たな治療法が望まれている。 本研究の主な目的は、新規抗てんかん薬であるレベチラセタム(LEV)に対して機能性ナノ磁気微粒子を用いて結合分子を同定し、作用機序を解明することである。マウス脳抽出液とLEV結合機能性ナノ磁気微粒子を混合し、LEVに結合する標的分子を機能性ナノ磁気微粒子に結合させ、 溶出後SDS-PAGE、銀染色、質量分析によって精製した分子の構造を決定し、レベチラセタム標的分子である選択的結合タンパクを同定した。これをLEV -binding protein-1(LBP-1)と仮称する。LBP-1の構造解析を行うとともにてんかんモデルマウス・脳症モデルマウスに対するLEVの脳保護作用を3方向から①行動学(抗けいれん作用),②組織形態学(海馬のニューロン新生), ③免疫学(脳組織のサイトカイン定量)検討する。てんかんを起こしにくい系統であるC57BL/6マウスにてある一定の条件下でてんかんを発症することを確認した。また、てんかんや急性脳症患者における免疫学的検討も併せて行い、血清もしくは血漿のサイトカインや各種Biomarker (brain-derived neurotrophic factor; BDNFなど)を測定した。さらに末梢血を採取し細胞内染色後フローサイトメトリー(FACS)にて解析し、サイトカイン産生能についても検討した。急性脳症において炎症性サイトカインの一つであるインターロイン-6やBDNFが神経学的予後と関連することを報告し、一部の症例では血漿の炎症性サイトカインの値とFACSによるサイトカイン産生能とは異なる結果がみられ興味深い知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機能性ナノ磁気微粒子を用いてLEV標的分子である選択的結合タンパク(LBP-1)を同定した。てんかん・急性脳症患者の免疫学的解析も徐々に進行し概ね順調に進展していると思われる。C57BL/6のてんかんモデルマウスは確立したものの、脳症モデルマウスに対するLEVの脳保護作用の検討が遅れており、研究分担者の協力を仰ぎ今後より一層尽力する。
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Strategy for Future Research Activity |
レベチラセタム標的分子である選択的結合タンパク(LBP-1)の構造解析を行い、LBP-1の脳内分布を調べる。マウス脳を固定し、レベチラセタム結合分子のin situ ハイブリダイゼーションによってmRNA の分布を調べ、レベチラセタム結合分子の抗体を作製し、免疫組織化学によって結合分子の分布を調べる。 インフルエンザウイルスWSN株を3-4週令のBALB/Cマウスの左右両鼻に接種し、脳症モデルマウスを作成し、LEVの脳保護効果を①抗けいれん作用(けいれんの頻度、持続時間など)、②組織形態学的検討、③脳の部位(大脳皮質,海馬など)ごとの免疫学的検討を行う。また、マウスにアセチルコリン受容体刺激剤のピロカルピンを投与してんかんモデルマウス作製し、同様の検討を行う予定である。 C57BL/6マウスによるけいれん発作を起こさせる系を開発できたことにより、遺伝子改変マウスによるてんかん研究が可能となった。今後LBP-1欠損マウスを作製して解析することも検討している。 引き続き小児けいれん性疾患の代表であるてんかんや急性脳症、熱性けいれんなどの免疫学的検討も行う。
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Causes of Carryover |
機能性ナノ磁気微粒子を用いたレベチラセタムの選択的結合タンパクの同定が順調に進み、試薬のコストが予想より安価に済んだ。また、インフルエンザ脳症モデルマウスの実験が準備段階のためマウスの購入が済んでいないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
インフルエンザ脳症モデルマウスの作成、および各種バイオマーカーの購入などに使用する予定である。
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Research Products
(21 results)