2016 Fiscal Year Research-status Report
福山型先天性筋ジストロフィーに対するプロスタノイド合成阻害療法開発の基礎的研究
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16K10001
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
石垣 景子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (10366304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 真理子 (谷口) 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (00410738)
竹内 敦子 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (80154970)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プロスタノイド / 福山型先天性筋ジストロフィー / 尿中プロスタグランジン代謝産物 / シクロオキシゲナーゼ阻害薬 / フクチンマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)福山型筋ジストロフィー(FCMD)患者の尿中プロスタグランディン代謝物測定 LC-MS/MSを用いて,43名のFCMD患者の尿中PGD2,PGE2代謝物であるtetranor-PGDM,tetramer-PGEMを測定し,正常対照との値と比較を行った.tetranor-PGDM 5.4±-0.6 ng/mg creatinine,tetramer-PGEM 32.3±3.1 ng/mg creatinine であり,tetranor-PGDMは1.7倍,tetramer-PGEMは3.4倍,正常対照よりも高かった. (2)FCMD患者筋検体における壊死筋のPGD,PGE合成酵素発現の証明 FCMD患者の保存筋検体に対し,抗ヒト造血器型PGD合成酵素(H-PGDS)抗体,抗ヒトリポカリン型PGD合成酵素(L-PGDS)抗体,抗ヒト膜結合型PGE合成酵素-1(mPGES-1)抗体を用いて免疫染色を行った.乳児,小児の筋検体では,H-PGDS抗体により壊死筋が染色されたが,DMDほどはっきりしなかった.mPGES-1抗体でも染色されたが,胎児筋は全ての筋線維が強染色され,判定困難であった. (3)FCMDモデルマウスの尿中PGD2,PGE2代謝物上昇証明 神戸大学で飼育中の8週齢のFCMD疾患モデルマウス(ヒト3kb型挿入変異/fukutinKO型複合へテロマウス(Hp/-))4匹とその対照マウス(Hp/+)3匹の尿中PG代謝物測定を行った. Hp/-マウスでは,tetranor-PGDM 27.9±4.5 ng/mg creatinine,tetramer-PGEM 151.7±18.9 ng/mg creatinineと総じて高値であった.対照マウスのうち2匹はtetranor-PGDM 15~16,tetramer-PGEM 82.6と低値であったが,1匹は高値を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りに進捗している.H28年度分では,胎児の患者筋検体が全体的に染色され,抗体の希釈率に問題があると考えており,再検討が必要である.予定より早く,H29年度に行う予定であった(3)も開始できたが,こちらも対照サンプルの一部で高値が出るなど予測外の結果が得られ,サンプル数を増やし検討していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度は,H28年度に残った胎児患者筋検体の免疫染色と,予定通り,疾患モデルマウスの尿中代謝産物,および筋検体の評価を行う.後期には(4)FCMDモデルマウスにおけるCOX阻害薬(アスピリン)投与(低用量,高用量)の有効性の評価を開始する. 上述のモデルマウスを用いてアスピリンをマウスに投与し,その有効性を評価する.アスピリンは経静脈(尾静脈)経由あるいは経口摂取を行い,低容量(100mg/Kg/一回/日投与)及び高容量(300mg/Kg/分3)にて,投与回数は連日あるいは隔日投与を行う.FCMDモデルマウスは筋の壊死像が顕著でないため,カルジオトキシンあるいはブピバカイン局所投与による筋壊死誘導を行い,壊死像に対する回復の程度によりその効果を評価する.投与後1週間投与の後1週間後にモデルマウスを安楽死させ,筋壊死からの再生,αジストログリカンのOマンノース型糖鎖の回復をウエスタンブロッティング法により評価する.効果に応じて投与量は段階的に変更し検討する。投与前後で尿中PGD2,PGE2代謝物測定を行い,減少を確認する.
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Causes of Carryover |
疾患モデルマウスの飼育に関して,人件費が発生すると当初見込んでいたが,神戸大学動物舎で原因不明のマウス死亡事故があり,使用制限がかかったため,この分の人件費が発生しなかった.また,LC-MS測定時に必要な試薬等,カラムに関して,元々神戸薬科大学に備わっているシステムを今年度は使用したために,物品費が予測より大幅に少なくなっているが,これは次年度のマウス尿測定には欠かせないため,次年度に持ち越して,購入する.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度,1)疾患マウスおよび対照マウスの飼育,尿採取に必要な人員への人件費,2)LC-MSのカラム,試薬購入を次年度に行う.
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