2016 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア病の新規バイオマーカーGDF15とFGF21の交絡因子の解明
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16K10003
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
八ツ賀 秀一 久留米大学, 医学部, 助教 (10454919)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミトコンドリア病 / バイオマーカー / GDF15 / FGF21 |
Outline of Annual Research Achievements |
GDF15が上昇する因子について検討を行った。疾患群で複数回採取されている場合はこのうち1回目のGDF15を解析に用いた。コントロール群(n=149)、MELAS(n=48)、CPEO/KSS(n=6)、Leigh症候群(n=9)について検討した(コントロール群のGDF15は正規分布に近似するため対数変換を行って検討した)。その結果、疾患群で有意と考えられる変数は、年齢、MCH、BUN、Cre、FGF21が有意であった。一方、疾患群では有意と考えられる変数は年齢とMCHCであったがどちらも相関は弱かった。解析は、変数として年齢、身長、体重、WBC、RBC、Hb、Ht、 MCV、MCH、MCHC、PLt、ALT、ALT、LDH、ALP、γGTP、BUN、Cr、eGFR、乳酸、ピルビン酸、FGF21を使用した。1)コントロール群と疾患群でそれぞれ単回帰式をもとめ、有意な変数(GDF15が大きくなると、その変数に変化が出る)を検討。2)関連性の強さを見るため、相関係数を算出。3)疾患群において単回帰式から有意な変数を算出した結果、BUN、Crが、年齢と関連していそうな変数であったため、年齢調整を行って比較した。単回帰式を作成したところ、単回帰で有意に関係があるのは年齢、MCH、BUN、Cr、FGF21だった。相関係数は関連性を示し、数字が1に近いほどばらつきが少ないと判断できる。ここでは0.3以上を弱い相関があるとした。マイナスの場合はここではGDF15が高くなると、その項目が下がることになる。疾患だけで検討した場合、GDF15と弱い相関があるのはFGF(0.56)、MCH(-0.42)、BUN(0.51)、Cre(0.45)だった。BUN、Crは年齢と関係なく有意な変数であることが分かった。 コントロール群でも同様の解析を行った。1)単回帰式で有意なのは年齢とMCHCだった。相関を検討したが、有意な相関係数は出なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度で、代表的なミトコンドリア病において、GDF15とFGF21の交絡因子を血液検査データのみだが明らかにすることができた。今後は、血液検査のみでなく、臨床データ(重症度など)を加味し、交絡因子をさらに検討していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
重症度スコアをつけているミトコンドリア病症例をリクルートする。当院では常時50症例は外来フォローしており、フォロー間隔が空いている症例を含めれば1年で約100症例は集められると思われるので、症例数は問題ないと考える。臨床症状と詳細に検討し、血液検査を含めた交絡因子を明らかにしていく。 同時に、患者の皮膚線維芽細胞を用いて、呼吸鎖機能も同時に測定し、GDF15/FGF21と関連があるか検討できるようにする。
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Causes of Carryover |
一定の研究成果が出ており、学会等での発表の機会を増やしたため旅費支出は増えたが、28年度は予定よりも消耗品を購入する必要がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度は検体測定回数も増え、キットや実験用品の消費が予想されるため、余剰金は使用可能と考える。
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