2017 Fiscal Year Research-status Report
AAVベクター及びiPS細胞による非侵襲的な副腎皮質過形成症の遺伝子治療開発
Project/Area Number |
16K10005
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
内木 康博 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 内科系専門診療部, 医師 (20470007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝又 規行 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 室長 (10260340)
深見 真紀 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 部長 (40265872)
高田 修治 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部, 部長 (20382856)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 先天性副腎皮質過形成 / 遺伝子治療 / アデノウィルス随伴ウィルスベクター / 21水酸化酵素欠損症 / 11β水酸化酵素欠損症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は先天性副腎皮質過形成に対して非侵襲的な遺伝子治療の開発を目的とする。 本研究期間ではアデノウィルス随伴ウィルスベクター(AAV)を用いて欠損した遺伝子を導入することを試みるが、昨年度に血清型2型のAAVにCYP21A2遺伝子を組み込んだAAV2ベクター(AAV2-CYP21A2)とCYP11B1遺伝子を組み込んだAAV2ベクター(AAV2-CYP11B1)を作製した。 本年度では前年度と合わせて21水酸化酵素欠損症の患者3名の患者皮膚粘膜から初代培養して得られた線維芽細胞に対してAAV2-CYP21A2を感染させたところ、用量依存性にRT-PCRでmRNAの発現が認められるものの、培養液中に加えた17水酸化プロゲステロンが11デオキシコルチゾールに変換されることで確認できる21水酸化酵素活性は3名中1名で認められなかった。現在この1名で酵素活性が得られなかった原因を究明中である。 また11β水酸化酵素欠損症の患者皮膚から初代培養して得られた線維芽細胞ではAAV2-CYP11B1による11β水酸化酵素活性が認められなかった。そのため副腎皮質に直接遺伝子導入を試みる目的で、副腎皮質に感染性を有する9型のアデノ随伴ウィルスベクター(AAV9)にマウスのCyp11b1遺伝子を組み込んだAAV9ベクター(AAV9-Cyp11b1)を作製した。さらに昨年度ゲノム編集を用いて作製したCyp11b1欠損ヘテロ欠損マウスを交配させて得られたホモ欠損マウスでは血清で11β水酸化酵素欠損症に認められるデオキシコルチコステロンの蓄積を認めたことから疾患モデルマウスの作製に成功したことを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
21水酸化酵素欠損症の患者皮膚を用いた実験であり、昨年度で1名、本年度で2名の患者検体を得られたことは、稀少な手術がこの研究期間中に複数回行われたことであり幸いであった。 またゲノム編集でCyp11b1欠損マウスを作製するにあたり、1回のゲノム編集で作製し得たことが研究を順調に進めえた要因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
21水酸化酵素欠損症患者の線維芽細胞での解析数を増やし、再現性を確認することと、無効例における原因検索を行う。 Cyp11b1欠損マウスにおいてAAV9-Cyp11b1を用いて直接副腎皮質への遺伝子導入を行うことでステロイド合成異常の改善が認められるか否か、Cyp21a1欠損マウスにおいてAAV9-Cyp21a1を用いて直接副腎皮質に遺伝子導入した場合と、AAV2-Cyp21a1を用いて副腎外に遺伝子導入した場合とで有効性が異なるか否かを検証する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度において当初の予定通り、①遺伝子欠損マウスへのAAV9ベクター導入前後での血液中のステロイド代謝物を測定すること、②ヒト21水酸化酵素欠損症から得た線維芽細胞培養液中のデオキシコルチゾールを測定すること、③ヒト11β水酸化酵素をコードするCYP11B1遺伝子を組み込んだAAV9ベクターを作製すること、上記の計画のため予算を使用する予定である。
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