2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K10018
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
大嶋 勇成 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (40303391)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 経皮感作 / 食物アレルギー / 好塩基球 / ナノ粒子 / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)経皮感作食物アレルギー動物モデルを作成し、経口チャレンジにより食物アレルギー症状を発症させた後、2回めの経口チャレンジ後の皮膚炎部位における網羅的遺伝子発現と小腸における遺伝子発現を測定した。その結果、皮膚局所では、TSLP,IL-4, IL-3, Mcpt8, Mcpt1のmRNAは発現が増加し、小腸粘膜ではMcpt1とMcpt2のmRNA発現の増加を認めた。皮膚炎をステロイド外用により軽減させると誘発症状が軽減されるとともに、皮膚におけるIL-4, IL-3, Mcpt8, Mcpt1と小腸でのMcpt1, Mcpt2の発現の減少を認めた。この結果から、皮膚における好塩基球活性化とTh2サイトカイン産生が、遠隔部位である消化管粘膜における肥満細胞の活性化に影響し、食物アレルギー症状を増悪させると推測された。 2)poly(lactide-co-glycolide)(PLGA)を安定剤用いたナノ粒子に抗原としてオボアルブミンを封入し、PBSに懸濁後、皮膚に塗布する方法を検討した。その結果、PBSに25% v/vのグリセロールを混合したものに懸濁した方が皮膚に効率良く塗布することができた。また、この塗布方法を用いると、抗原特異的IgEでなく、IgGが産生されることから、ナノ粒子に封入した形で抗原を投与しても、抗原が取り込まれ免疫応答を起こすことが確認できた。 3)オボアルブミンを経皮感作させ食物アレルギー動物モデルを作成し、経口チャレンジにより食物アレルギー症状を発症させた後、オボアルブミンを封入したナノ粒子を塗布して免疫療法を行うと、2回めの経口チャレンジによる誘発症状がわずかだが、軽減されることが確認できた。今後、免疫療法の効果を高めるため、アジュバントを同時に投与することが必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ粒子に抗原を封入して投与する方法で、弱いながらも誘発されるアレルギー症状を抑制することが確認できたことから、ナノ粒子のサイズ、懸濁方法、塗布方法は確立できたと考えられる。また、アジュバント候補物質をナノ粒子に封入したものを作成することができたことにより、最終年度では、その効果の確認作業に取り掛かれることから、おおむね順調と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
消化管粘膜における制御性T細胞の誘導に関わる可能性が示唆される短鎖脂肪酸をアジュバント物質の候補とし、そのエステル化したものをナノ粒子に封入する。 このアジュバント作用を持つナノ粒子と抗原を封入したナノ粒子を混合して塗布することで、経皮免疫療法としての治療効果を解析する。 また、免疫療法の症状抑制効果のバイオマーカーとして血清中抗原特異的IgG値、血清中mmmcp1濃度を測定するとともに、腸間膜リンパ節、皮膚所属リンパ節における制御性T細胞や制御性B細胞の比率の変化を解析する。
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Causes of Carryover |
免疫療法に有効性が期待できるナノ粒子が作成できたため、他の条件や試薬を用いて別の材質のナノ粒子の作成する必要性が生じなかったことから、ナノ粒子作成費用とその効果を検証するための動物購入費を節約することが出来た。 次年度に繰り越した資金を利用して、ナノ粒子の作用機序の解明のため、網羅的遺伝子解析を追加で行う資金とする予定である。
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Research Products
(23 results)