2018 Fiscal Year Research-status Report
MDA5、抗MDA5抗体の機能解析による重症間質性肺障害発症機構の解明
Project/Area Number |
16K10022
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小林 法元 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (00362129)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | MDA5 / 間質性肺炎 / 若年性皮膚筋炎 / 抗MDA5抗体 / 筋炎特異的自己抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗MDA5抗体陽性の皮膚筋炎患者では、間質性肺炎を高率に合併し急速進行性の経過で死に至る症例も多い。我々は、小児期に発症する若年性皮膚筋炎(JDM)患者においても間質性肺炎を合併するが、生命予後は成人例に比較して良好であることを明らかにしてきた。で抗MDA5抗体の標的抗原であるmelanoma differentiation-associated gene 5 (MDA5)の皮膚筋炎及び間質性肺炎の病態への関与を明らかにするため、JDM10例(筋炎特異的自己抗体(MSA):抗MDA5抗体2例、抗MJ抗体3例、抗TIF1γ抗体1例、抗Mi-2抗体1例、抗ARS抗体1例、陰性2例)と健常コントロール3例の血清MDA5をIFIH1/MDA5 ELISA Kit (LifeSpan BioScience, Seattle, WA)により測定した。血清中のMDA5はMSA陰性の1例において陽性となった。健常人の検体はすべて陰性であった。陽性となった患者において、治療経過中の疾患活動性を有する3点において検討したところすべてが陽性となった。この結果から、JDM患者の細胞質外にMDA5蛋白が存在し、病態に関与している可能性が示唆された。測定に使用したキットによる偽陽性を否定するため、現在、MDA5蛋白の5’側と3’側に対する市販の抗MDA5polyclonal抗体をそれぞれ用いたELISAシステムを調整中である。 細胞質外のMDA5の機能についての検討を行うため、蛋白合成を計画したが、MDA5の分子量が大きかったため全蛋白を一括して合成することが困難であった。上記患者血清中のMDA5の配列を参考にして、機能解析を行うことを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
JDM患者血清中に細胞質内タンパクと考えらているMDA5が存在している可能性が示唆された。MDA5の機能解析については、全配列を有するMDA5リコンビナント蛋白の合成が困難であり、本研究が遅延している原因となっている。現在、別のELISAにより偽陽性ではないか確認を行っている。その後、ELISAで用いた抗体による蛋白免疫沈降を行い蛋白配列を同定する予定である。その後、患者血清中のMDA5配列を用いた刺激実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
患者血清中のMDA5について偽陽性の否定のため、別のELISAを行う。ELISAで用いた抗MDA5抗体を用いて、免疫沈降を行い、患者血清中のMDA5シークエンスを明らかにする。 他施設からのJDMの検体についても同意を得たうえで患者血清中のMDA5の有無について確認を行う。 上記で明らかになったMDA5リコンビナント蛋白を合成し、筋、血管内皮細胞、肺胞上皮細胞株を刺激しサイトカイン及びケモカインを測定する。特にI型インターフェロンとそれに関連したIP-10などを中心にビーズベースイムノアッセイやELISAにより測定する。 また、別に抗MDA5抗体のエピトープを明らかにするため、MDA5断片を合成しサンドイッチELISAを行い自己抗体の結合部位を特定する。
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Causes of Carryover |
平成30年度は、リコンビナントMDA5などの融合蛋白を作成し、刺激実験を行う予定であった。しかし、MDA5全シークエンスを含んだリコンビナント蛋白の合成は困難であったため、患者血清中に見られるシークエンスについての機能解析を行うように計画を変更した。次年度に、融合蛋白による刺激実験を行うために、本年度の予算の執行を抑えた。
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