2016 Fiscal Year Research-status Report
NLRC4インフラマソームの機能異常による自己炎症病態の分子基盤解明
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16K10028
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
北村 明子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (10448318)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自己炎症症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
家族性寒冷自己炎症症候群 (FCAS)は、寒冷刺激によって発熱、発疹、関節炎を反復する自己炎症症候群である。我々は、FCASの一家系を見出し、NLRC4の遺伝子変異を同定した(J Exp Med 2014)。しかし、その発症機構は不明で、NLRC4インフラマソームの機能異常がどのようにヒト炎症病態に寄与するかを知ることは重要な課題と思われる。我々はこれまでに、FCAS罹患者と同じNlrc4遺伝子変異を導入したトランスジェニック(Nlrc4-Tg)マウスを用いて、好中球由来の過剰なIL-1βが慢性炎症の病態に関与することを明らかにした。しかし、Nlrc4-TgマウスでIL-1βを欠損させても炎症症状が残存することから、IL-1β以外の経路も炎症病態に関与していると考えられる。 以上の背景から、本研究では、Nlrc4-Tgマウスに、IL-1βと他の炎症経路に関与する分子群を欠損させたダブルノックアウトマウスを樹立し、炎症を誘導する主要な分子を明らかにするとともに、変異NLRC4による過剰な炎症応答を制御する分子機構を明らかにすることを目指している。本研究の成功により、NLRC4の遺伝子変異に起因する自己炎症病態の分子基盤が明らかになることが期待でき、ヒト炎症病態の研究分野に大きなインパクトをもたらしうると考えられる。 当該年度は、1.NLRC4の遺伝子変異により自己炎症応答が誘導される現象を個体レベルで検討するために、Nlrc4-Tgマウスで、Il1bを欠損するマウス、Il18を欠損するマウス、Il1bとIl18を欠損するダブルノックアウトマウスを樹立した。2.既存の薬剤ライブラリ-を用いて、変異NLRC4による過剰な炎症応答を制御する分子群を明らかにするために、Tet-One発現誘導システムを用いて誘導時にのみ変異NLRC4を発現するTHP-1細胞株の樹立を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、交付申請書に記載した研究計画に従い、 (1)MHCクラスIIプロモーター下に変異Nlrc4を高発現するトランスジェニックマウスで、Il1bを単独欠損するマウス、Il18を単独欠損するマウス、Il1bとIl18を欠損するダブルノックアウトマウスを樹立した。現在、樹立した遺伝子改変マウスを用いて、FCAS罹患者と同様の自己炎症病態の有無について検討している。 (2)これまでに、Tet-One発現誘導システムに用いるpTetOne Vectorへの変異NLRC4のサブクローニングが終了しており、現在は、それを遺伝子導入したTHP-1細胞の薬剤選択を行っている。 以上のことから、当初の計画通りに研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に4系統の遺伝子改変マウス(①Nlrc4-Tgマウス、②Nlrc4-TgマウスでIl1bを単独欠損するマウス、③Nlrc4-TgマウスでIl18を単独欠損するマウス、④Nlrc4-TgマウスでIl1bとIl18を欠損するダブルノックアウトマウス)を樹立した。今後は、これらのマウスについて、自己炎症応答の有無を検討する。 (1)関節、皮膚、脾臓などのNlrc4-Tgマウスで炎症応答が著明であった組織の炎症応答を比較検討する。 (2)脾臓細胞を分離し、フローサイトメーターを用いてTリンパ球、Bリンパ球、樹状細胞、マクロファージの活性化状態を検討する。 (3)経時的に免疫担当細胞の数、血清中の各種サイトカイン、抗体価を測定し、炎症応答の有無を検討する。
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