2018 Fiscal Year Research-status Report
既存の自己抗体が未特定の自己免疫疾患における網羅的抗リン脂質抗体の検討
Project/Area Number |
16K10031
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
是松 聖悟 大分大学, 医学部, 客員教授 (60264347)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 抗リン脂質抗体 / 予防接種 |
Outline of Annual Research Achievements |
ワクチン副反応における血管炎の基礎病態の検討:抗リン脂質抗体の関与
【目的】予防接種の副反応に急性散在性脳脊髄炎や視神経炎、関節炎などがあり、その基礎病理として、血管周囲の炎症細胞浸潤がある。一方、ヒトの血管内皮細胞や髄鞘、視神経、関節軟骨にはphosphatidylcholine(PC)やphosphatidylethanolamine(PE)等のリン脂質が高濃度含有されている。今回、ワクチン副反応における血管炎の基礎病態に、抗リン脂質抗体関与の有無を検討した。【対象と方法】8名(基礎疾患:若年特発性関節炎7名、全身性エリテマトーデス1名。4.1~17.2歳、中央値11.5歳、男/女=3/5)。予防接種:インフルエンザ(2例)、MR(2例)、2価ヒトパピローマウイルス(1例)、4価ヒトパピローマ(2例)。文書による同意を得て、ワクチン接種前、1か月後に採取した血清より、ELISA法にて、抗PC、PE、cardiolipin(CL)- IgG抗体を測定した。年齢適合健常児4名の平均+2標準偏差をcut off値とした。【結果】インフルエンザワクチンを接種した2名に抗体PC-IgG抗体の2倍以上の上昇がみられ(前/1か月後=0.156/0.324 OD、0.072/0.147 OD:cut off値0.078)、うち1名は抗CL-IgG抗体も上昇した(0.130/0.366:cut off値0.241)。他ワクチンの前後では、抗PC抗体(平均0.133/0.107)、抗PE抗体(平均0.247/0.195:cut off値0.301)、抗CL抗体(平均0.215/0.220)に変化はなかった。【結論】今回の8例にはワクチンによる臨床的な副反応はみられなかったが、インフルエンザワクチンは抗PC抗体の上昇を惹起し、血管炎の発症/増悪に関与している可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
医師不足にともなう地域医療支援のエフォートが増加したため。
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Strategy for Future Research Activity |
徐々に状況は改善しているため、研究を継続する予定である。
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Causes of Carryover |
研究の遅れに伴い、次年度の予算申請を行います。研究を遂行する予定です。
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