2017 Fiscal Year Research-status Report
hSNF5による RUNX制御機構の解明と悪性ラブドイド 腫瘍発生病態の解明
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16K10038
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
桑原 康通 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30590327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30291587)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | RUNX1 / SNF5 / Rhabdoid腫瘍 / 転写制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.RUNX familyとSNF5の相互作用 RUNX1とSNF5を細胞株へ強制発現させ、これらがタンパクとして発現し、会合しているかを免疫沈降法(IP)やWestern blot法によって確認したところ、SNF5とのタンパク同士の結合が確認できた。RUNX1のチロシンリン酸化部位変異体を、リン酸化を受けないチロシン残基としてフェニルアラニン変異体を作成し、SNF5とIPしたところタンパク間の結合は見られ、野生型と比較して有意な差はなかった。RUNX1のチロシンリン酸化とSNF5の結合は影響がないと考えられた。次に、SNF5欠損細胞であるヒトのRhabdoid腫瘍細胞に、RUNX1の標的遺伝子Xのルシフェラーゼ発現ベクターとSNF5やRUNX1を発現させ、ルシフェラーゼ活性を測定した。SNF5が存在しない条件では遺伝子X におけるRUNX1の転写活性は見られないが、SNF5存在下ではRUNX1の転写活性が観測された。RUNX1のチロシン残基の変異体を用いて同様のルシフェラーゼ活性を見たところ、変異体の一部でRUNX1の遺伝子Xでの転写活性に影響が見られた。RUNX1は転写活性においてSNF5と機能協調していると考えられ、またRUNX1のチロシンリン酸化は転写活性に影響することが確認できた。 2.マウス個体レベルでのRUNX familyとhSNF5の相互作用の検討 Runx1+/-マウスはすでに研究室に存在する。Rhabdoid腫瘍を発生するSnf5+/-マウスの精子を研究協力者のノースカロライナ大学のWeissman教授から供与され、受精によってSnf5+/-マウスを個体化し、繁殖させている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野生型RUNX1、RUNX1チロシンリン酸化部位変異体、SNF5、Src、変異型Srcの発現ベクターを用いて、RUNX1とSNF5の関係やRUNX1のチロシン残基変異による転写活性の修飾、を免疫沈降法、ルシフェラーゼアッセイなどを用いて、多角的に解析を進めており、現在のところ予定通り進行していると考えている。Runx1+/-マウスはすでに研究室で維持できており、Snf5+/-マウスは海外共同研究協力者であるノースカロライナ大学のWeissman教授から供与され、時間を要しているものの現在、繁殖を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
RUNX1のチロシン残基のリン酸化とSNF5との相互作用について野生型RUNX1、RUNX1チロシンリン酸化部位変異体、そしてSNF5発現ベクターを組み合わせて、検討を進めている。特に本年度はある遺伝子座(以下、遺伝子X)での、クロマチン免疫沈降法、免疫沈降法、ルシフェラーゼアッセイ等による検討を進め、SNF5やSWI/SNF複合体とRUNX1の相互作用について確定する。ここでは、RUNX1とSNF5の会合による遺伝子XへのRUNX1のリクルートを検討することで、遺伝子Xプロモーター上でのSNF5とRUNX1の相互作用を試みたい。また、RUNX1+/-マウスと掛け合わせ、Snf5+/+:Runx1+/-、Snf5+/-;Runx1+/+、Snf5+/+:Runx1+/+、Snf5+/-:Runx1+/-のそれぞれの遺伝型マウスのコホートを作製し、Snf5欠失によって誘導されるラブドイド腫瘍発生に与える遺伝学的背景や、Runx1変異による血球異常に対する影響を調べ、個体レベルでの機能協調を明らかにしていく予定である。もし造血系あるいは腫瘍形成に関わる表現型が観察されれば、in vitro実験や細胞レベルの検討によってその分子メカニズムの確認実験へと進めてゆく予定である。
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Research Products
(1 results)