2017 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア選択的オートファジー障害による先天性溶血性貧血の病態解析
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16K10041
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
菅野 仁 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70221207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 洋志 東京大学, 医科学研究所, 特任講師 (40528733) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 赤血球浸透圧脆弱性 / フローサイトメトリー / 新生児溶血性貧血 / 次世代シークエンサー / ターゲット遺伝子シーケンスパネル |
Outline of Annual Research Achievements |
原因不明の溶血性貧血を対象に赤血球膜異常症、赤血球酵素異常症、ヘモグロビン異常症のスクリーニング検査を実施した。2016年~2017年に解析した症例は1歳未満が36例、1歳以上が100例であり、そのうち診断を確定し得たのは1歳未満が19例(53%)、1歳以上が84例(84%)で、新生児から乳児期の先天性溶血性貧血に関しては診断率が低いことが明らかになった。 我々は口唇赤血球症の一型である脱水型遺伝性有口赤血球症(dehydrated hereditary stomatocytosis; DHSt)の迅速診断法としてフローサイトメトリーによる定量的赤血球浸透圧脆弱性試験(FCM-OF)が有用であることを明らかにした。今回検討した1歳未満の先天性溶血性貧血36例中7例(19%)にはFCM-OFの異常高値が認められたため、そのうちの3例に対してDHStの病因遺伝子であるPIEZO1、KCNN4を含めた溶血性貧血関連68遺伝子を対象にしたTarget-captured sequencing(TCS)解析を実施したが、対象にした3症例にはPIEZO1/KCNN4を含めて溶血性貧血関連遺伝子に変異は同定出来なかった。 現在FCM-OFで異常高値を呈した7例をフォローアップしているが、1歳を過ぎてから溶血所見が自然軽快している例が認められたことから、FCM-OF高値の7症例は、Infantile pyknocytosis(IP)に分類されると考えている。IPは新生児~乳児期の原因不明先天性溶血性貧血の10%程度に認められる一過性の溶血性貧血であり、脱水を来した奇形赤血球(piknocyte)の存在が特徴である。今回の検討により、FCM-OFがIPの診断マーカーとなり得ることが示唆されたため、今後も先天性溶血性貧血の病因スクリーニングには、FCM-OFとTCS解析が必須と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
iPS細胞樹立を担当する予定であった分担研究者が移籍のため共同研究の遂行が不可能となり、ミトファジー関連遺伝子変異を同定した3症例からのiPS細胞が得られていない。 末梢血における赤血球ミトコンドリア数およびミトコンドリア機能の定量に関しては、正常対照を用いた基準値作成が進行中であり、次年度からは原因不明の先天性溶血性貧血症例を対象とした検討が可能な状況になっている。ミトコンドリア膜電位差の検討、オートファジーマーカーLC3の検出は未だ基礎的な検討が出来ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は原因不明の先天性溶血性貧血症例を対象としたFCM-OF検査およびTCS解析を継続し、ミトファジー関連遺伝子変異による症例の抽出を進める。共同研究先の東京大学医科学研究所の協力を得て、既に診断し得たミトファジー異常による溶血性貧血症例からのiPS細胞樹立を再開する。同時に赤血球ミトコンドリア数およびミトコンドリア機能の定量を新たなスクリーニング検査として導入し、検討を開始する。
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Causes of Carryover |
測定機器の不具合により進捗に影響があったため、次年度使用額が生じた。平成30年度には検体測定数が大幅に増加するため、測定試薬・消耗品の購入に充当する計画である。
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[Journal Article] 東京女子医科大学病院における静注用免疫グロブリン(IVIG)製剤の使用状況について2018
Author(s)
中林 恭子, 松田 和樹, 小林 博人, 小野 慎吾, 岩﨑 拓也, 久保田 友晶, 守屋 友美, 緒方 康貴, 及川 美幸, 木下 明美, 青木 貴子, 千野 峰子, 岡田 真一, 高源 ゆみ, 青木 正弘, 岡本 好雄, 今野 マユミ, 槍澤 大樹, 小倉 浩美, 菅野 仁
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Journal Title
日本輸血細胞治療学会誌
Volume: 64
Pages: 21-27
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Early-onset parkinsonism in a pedigree with phosphoglycerate kinase deficiency and a heterozygous carrier: do PGK-1 mutation contribute to vulnerability to parkinsonism?2017
Author(s)
Satoshi Sakaue, Takashi Kasai, Ikuko Mizuta, Masaya Suematsu, Shinya Osone, Yumiko Azuma, Toshihiko Imamura, Takahiko Tokuda, Hitoshi Kanno, Omar M.A. El-Agnaf, Masafumi Morimoto, Masanori Nakagawa, Hajime Hosoi and Toshiki Mizuno
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Journal Title
NPJ Parkinsons Disease
Volume: 31
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] AG-348,a pyruvate kinase activator,for pyruvate kinase deficiency:Results the drive PK study2017
Author(s)
Hitoshi Kanno、Rachael F.Grace, D.Mark Layton, Frederic Galacteros, D.Holmes Morton, Kevin H.M.Kuo, Sujit Sheth, Janet L.Kwiatkowski, Bruce Silver, Charles Kung, Marvin Cohen, Hua Yang, Penelope A. Kosinski, Lei Hua, Ann J. Barbier, Bertil Glader
Organizer
第79回日本血液学会学術集会
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