2016 Fiscal Year Research-status Report
プロテオミクスを用いた若年性皮膚筋炎における特異的マーカーの検出とその人種別評価
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16K10045
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
唐澤 里江 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 講師 (50434410)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 若年性皮膚筋炎 / 抗血管内皮細胞抗体 / プロテオミクス / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年性皮膚筋炎(JDM)で検出された抗血管内皮細胞抗体(AECA)の対応抗原候補蛋白であるmyosin light polypeptide 6(MYL6)、myosin-9(MYH9)、peroxiredoxin2(Prx2)およびvon willebrand factor(vWF)に対するIgG型自己抗体をELISAで測定した。IgG型MYL6抗体陽性率はJDMで20%(12/61)、対照疾患として若年性特発性関節炎(JIA)で12%(2/17)、小児健常人では16%(4/25)であった。更に未治療で疾患活動性が高いJDM(ADu)で50%(5/10)、治療中で疾患活動性が高いJDM(ADt)で12%(3/25)、疾患活動性が低いJDM(ID)では15%(4/26)であった。IgG型MYH9抗体陽性率はJDMで28%(17/61)、JIAで27%(4/15)、小児健常人では12%(3/25)であった。更にADuで50%(5/10)、ADtで24%(6/25)、IDtでは23%(6/26)であった。Prx2およびvWFに対するIgG型自己抗体陽性率は、疾患活動性が高いJDMでそれぞれ24%(6/25)、4%(1/27)であり、小児健常人では検出されなかった。 再度、大動脈血管内皮細胞からの抽出蛋白を2次元電気泳動で分離後、JDMと小児健常人血清でそれぞれwestern blottingを行った。JDMに特異的な5つの蛋白スポットを検出し、質量分析法を用いて34個のAECA対応抗原候補蛋白を同定した。そのうち8個の蛋白は分子シャペロンもしくはシャペロン補助因子であり、27個の蛋白は分子シャペロンとの関連性がパスウェイ解析によって示唆された。 これらのアプローチによって、JDMに有用な特異的マーカーの検出やその病因・病態への関与の解明が期待されると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロテオミクス解析を2回行ったことで、若年性皮膚筋炎における抗血管内皮細胞抗体の対応抗原候補蛋白を絞り込むことが容易となった。さらに患者および小児健常人からの検体も順調に集まっているため、ほぼ予定通りの成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
IgG型MYL6抗体およびIgG型MYH9抗体は、未治療で疾患活動性が高い若年性皮膚筋炎患者で高頻度に検出される傾向が示唆された。今後、未治療で疾患活動性が高い若年性皮膚筋炎患者を中心に、検体数をさらに増やして詳細に検討していく。また新たに同定された抗血管内皮細胞抗体の対応抗原候補蛋白に対しても同様に評価し、その臨床的意義についても検討していく。これらの結果を人種別に比較検討していくとともに、疾患特異的マーカーとなり得るか否かについて評価する。
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Causes of Carryover |
組み換え蛋白および測定キットの購入を予定していたが、次年度に購入することになった。さらに論文投稿を予定していたが、同様に次年度以降となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、組み換え蛋白、測定キットの購入および論文投稿を予定している。 さらにELISA用プレートなどの実験器具や測定試薬の購入を予定している。また、新たな結果が出た場合は、その成果発表を行う予定である。
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Research Products
(4 results)