2017 Fiscal Year Research-status Report
プロテオミクスを用いた若年性皮膚筋炎における特異的マーカーの検出とその人種別評価
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16K10045
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
唐澤 里江 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 講師 (50434410)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 若年性皮膚筋炎 / 抗血管内皮細胞抗体 / プロテオミクス / シャペロン蛋白 / 自己抗原 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、プロテオミクスを用いて若年性皮膚筋炎(JDM)における抗血管内皮細胞抗体(AECA)の対応抗原候補蛋白を34個同定した。本年度、再度これらの蛋白の質量分析結果を詳細に解析して、最終的に22個の蛋白をJDMにおけるAECAの対応抗原候補蛋白とした。 同定された22個の蛋白のうち7個がシャペロン関連蛋白であり、17個がパスウェイ解析でシャペロン蛋白との関連性が示唆された。同定された蛋白の構造や機能に関するデータベースおよび質量分析データから、heat shock congnate 71kDa(HSC70)、heat shock protein HSP 90-beta(HS90B)およびstress-induced-phosphoprotein 1 (STIP1)の3つのシャペロン蛋白に注目し、ELISAにてIgG型自己抗体を検出した。IgG型HSC70抗体がJDM患者(n=39)の23%に検出された。興味深いことに、疾患活動性が高い未治療のJDM患者(n=10)ではその半数にIgG型HSC70抗体が検出され、若年性特発性関節炎(n=15、7%)および健常児(n=20、5%)に比べ、有意に高値であった。さらに疾患活動性が高い治療中のJDM患者(n=15)および疾患活動性が低いJDM患者(n=14)におけるIgG型HSC70抗体の検出率は13~14%であった。一方、IgG型HS90B抗体はJDM患者(n=31)の6%に検出され、IgG型STIP1抗体はJDM患者では検出されなかった。以上の結果よりJDMの患者血漿中にAECAが検出された。JDMにおけるAECAの臨床的意義を明らかにするためには、検体数を増やして抗HSC70抗体を再度検出するとともに、疾患活動性を含めたJDMのフェノタイプと抗HSC70抗体との関連性についての検討が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
若年性皮膚筋炎における抗血管内皮抗体の対応抗原候補蛋白に対する自己抗体をELISA法にて測定した。その結果、ターゲットとなる対応抗原を絞り込むことができた。また海外からの新規患者血漿(約100検体)はすでに届いており、検体の準備もほぼ整っているため。万一、海外からの追加の対照検体の到着が予定より遅れた場合は、先に新規患者血漿(約100検体)で自己抗体をELISA法にて測定する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果より、疾患活動性が高い未治療のJDM患者でIgG型HSC70抗体が高頻度で検出される傾向が示唆された。今後は、検体数を増やして再度評価する。さらに疾患活動性を含むフェノタイプ別に、自己抗体をELISA法にてそれぞれ評価する。また昨年度の結果より、IgG型MYL6抗体およびIgG型MYH9抗体に関しても同様に評価する。 最終的にこれらのAECAのJDMにおける臨床的意義について検討する。
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Causes of Carryover |
[次年度使用額が生じた理由] 成果発表のため出席した国際学会の旅費の事務手続きが遅れたことに加え、論文の投稿料の支払いが次年度となったため。 [使用計画] 上記に加え組み換え蛋白、測定キットや試薬の購入を予定している。またELISA用プレートや必要に応じて実験器具の購入も予定している。
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Research Products
(5 results)