2016 Fiscal Year Research-status Report
小児期発症の気管支喘息における小胞体ストレス関連分子ORMDL3の機能解析
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16K10053
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
二村 恭子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, (非)研究員 (60596956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 ありさ 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, (非)研究員 (60572998)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ORMDL3 / 小児発症気管支喘息 / ウイルス感染 / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに複数のゲノムワイド関連解析で小児期発症の気管支喘息に強い相関をもつ領域として第17 番染色体12-21 が同定され、疾患感受性遺伝子としてORMDL3分子に注目が集まっているが、小児の気道特異的に作用する機序は未だに明らかでない。本研究では、小胞体ストレス応答関連分子として同定されたORMDL3分子について、小児期に頻発するウイルス感染時におけるアレルギー性炎症に対する影響を様々な角度で検討し、気管支喘息発症のメカニズムの一端を解明することを目的としてする。 初年度はヒト小気道上皮細胞(SAEC)を用いたin vitroの実験系を用いて、培養系にdsRNAを添加したウイルス感染モデルにおける小胞体ストレスの一系路の関与を検討・確認した。また、同じモデルにおいて、既に予備検討で確認した小胞体ストレスを軽減するケミカルシャペロンによるサイトカイン産生の抑制効果を他の薬剤を添加した系でも同様に認め、小胞体ストレスの作用をウイルス感染時におけるアレルギー性炎症促進作用が示唆された。 また上記のin vitroの検討をin vivoでも実施すべく、研究の開始時点では市場で入手可能なノックアウトマウスが存在しなかったため、ormdl3ノックアウトマウスの作製を行った。その際は従来より効率的な手法としてCRISPR-Cas9システムを用いて得られた変異マウスを掛け合わせ、その後の継代により、ormdl3変異ホモマウスを作成した。樹立されたormdl3ノックアウトマウスにおける気道炎症の評価等により、生体内での機能についても解析を進めていくことが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ORMDL3のin vitroにおける機能解析として、ヒト下気道上皮細胞(SAEC)における培養系にdsRNAを添加したウイルス感染モデルにおいて、小胞体ストレスの一系路にある遺伝子の発現増強を検討・確認できた。また、同じモデルにおいて既に予備検討で確認した小胞体ストレスを軽減するケミカルシャペロンによるサイトカイン産生の抑制効果を他の薬剤を添加した系でも同様に認め、小胞体ストレスの作用をウイルス感染時におけるアレルギー性炎症促進作用が示唆された。 一方、in vinoでの検討を目的としたormdl3ノックアウトマウスの作製については、CRISPR-Cas9システムを用いて、1~18塩基の挿入または欠失を持つ11匹の変異マウスを得た。このうちフレームシフトによりアミノ酸配列が変化していると考えられる4塩基欠失マウスについて、ormdl3以外の遺伝子が変異していないか確認を行ったところも問題がなかったため、4塩基欠失マウス同士の掛け合わせ・継代によりhomoマウスを作製した。尚、このhomoマウスは、同腹から継代した野生型と比較し、4週齢での体重や表現型には差は見られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定としては、初年度で明らかとなったウイルス感染時に小胞体ストレス応答の経路について、ヒト下気道上皮細胞においてより詳細な検討を行い、気道炎症増悪に関与するサイトカイン産生誘導分子を追究する。 また、当初の予定通りであるヒト末梢血T細胞におけるウイルス感染時のORMDL3の機能解析についても検討を開始する。 さらに初年度に作製・樹立したormdl3ノックアウトマウスを用いて、ヒト気道上皮細胞やヒトT細胞で検討した事項を検証する。まず、dsRNA吸入により、気管支洗浄液ないしは血清中のTSLPをはじめとした誘導されるサイトカイン、ケモカイン産生量と発現プロファイルの変化をELISA法ないしマルチプレックスサイトカインアッセイで野生型と比較・検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
実験手法を改良し、より小さなスケールで細胞培養を行うことが可能となったため、使用する培地や試薬量を節約することが出来たため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マルチプレックスサイトカインアッセイの測定項目アナライトを増加させたり、小胞体ストレス応答関連遺伝子のノックダウンに用いる新たなsiRNAの購入を予定している。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Platelets constitutively express IL-33 protein and modulate eosinophilic airway inflammation2016
Author(s)
Takeda T, Unno H, Morita H, Futamura K, Emi-Sugie M, Arae K, Shoda T, Okada N, Igarashi A, Inoue E, Kitazawa H, Nakae S, Saito H, Matsumoto K, Matsuda A.
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Journal Title
Journal of Allergy and Clinical Immunology
Volume: 138
Pages: 1395-1403
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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